冬の街に漂う静かな違和感が、
悪魔と少女の登場によって一気に物語へ変貌していく、そんな物語でした。
黒兎モダの圧倒的存在感と、アンジュの静かな美しさ。
二人の掛け合いは軽妙なのに、どこか神話的な影を落としていて、
自然とこの二人はただ者ではないと理解させられます。
そして物語が進むほど、
街全体に仕掛けられた見えない歪みが少しずつ露わになっていく。
謎の提示、違和感の増幅 、真相への接近
というミステリー的な内容がありつつ、
悪魔たちの価値観で語られる倫理が独特でした。
悪魔であるモダとアンジュが、
誰よりも人間の心の弱さ・愚かさ・愛しさを理解している。
彼らの判断は冷酷なのに、どこか正しい。
終盤に向かうにつれ、
街の秘密・人々の罪・隠された契約 が一気に収束し、
最後は静かで美しい余韻を残して幕を閉じます。
事件は終わっても、悪魔たちの旅は続く。
この余白がとても魅力的で、読後にふっと胸が温かくなりました。