第8話 追跡
皆で勝利の余韻を味わっていると、杖を突きながら元軍人の男がやって来た。視線の先には血痕が続いている。何匹かは山へ逃げ戻ったのだろう。
誰かが言った。
「あいつらの跡を追ってみよう」
危険だ。私はそう思ったが、防衛するより奴らのねぐらを燃やしたほうが早い気がした。何度もこんなことを続けることが出来ないだろう。
「まずは視察が良いだろう」
元軍人が言った。
「出来れば奴らの住処を燃やしてしまおう」
と提案した。結果、十名程度の若者が、武器と黒水を持って奴らを追うことになった。
準備を終えると、朝日が昇っており、安全に血痕を追うことができた。途中で息絶えた魔犬や小鬼が倒れており、中には瀕死に者もいた。慈悲の心からでは無いが、自分たちのしたことによる痛々しさから止めを刺していった。山に入ると何匹化の小鬼が支え合いながら道を進んでいる。豚頭は居ないので、気づかれたところで対処できると考え、私たちは後を追うことにした。
魔の山。そこは決して上ることが出来ない山。何人もの冒険者たちが挑み、誰も入ることが出来なかった山。魔物たちはどうやって山に戻るのであろう。私たちは山の麓にすら来たことも無かったが、鬱蒼としているがただの山のように感じた。小鬼たちと距離をとりながら後を進むと、いつの間にか小鬼たちが消えている。獣道の途中で突然消えたようだ。気の短いやつが獣道を走りだした。私を含め唖然と立ちすくんでしまったが、先に言ったやつが「見失った」と首を振り戻って来た。これが魔の山かと肩を落とすと、下には小鬼の血痕が残っていた。
皆を集め、血痕を追う。だが、やはり突然消えている。地を這うように血痕をさがすと、新たな獣道を見つけた。死角、視界ではなく、意識の死角とでも言うのであろうか。何度行き過ぎても見つけることが出来なかったが、一度見つけると問題なく見つけられる。これがこの山の秘密か。仕組みは分からないが。
再度、私たちは獣道を進んだ。
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