女性が唯一武器に変身出来る女尊男卑の世界で、彼女達を最強に出来る主人公は極限にまで使い尽くして使い捨てる、捨てられたヒロインはそれでも主人公を愛している、武器娘ハーレム、現代ファンタジー
三流木青二斎無一門
第1話
カインが造り上げた創造物、
カインは彼女達を造ると興味を無くし、
その後、イヴシリーズはこの世で唯一、ゴーレムを破壊する事が出来る武器として高い地位を確立する。
この世は女尊男卑。
万物は彼女達の為に在る。
「なあ、良いだろ?セレネちゃん」
所謂、学園と呼ばれる場所では、カインが鍛錬した武器であるイヴを強化する者がいる。
それが、神代鍛冶師、トバルカインと呼ばれる、カインの血筋を持つ者たちであった。
基本的に、トバルカインたちはイヴの潜在能力や能力を強化する事が出来る鋼を鍛つ槌手を宿す。
彼らの流れる血液から発生する熱が鍛冶の火を化し、熱を与える事でイヴを強化させる。
同時に、武器として変化するイヴを使役出来るのはトバルカインだけであった。
イヴが居なければ、ゴーレムを破壊する事が出来ない。
故に多くのトバルカイン達はイヴの機嫌を損ねる事無く女王の様に付き従う事が多い。
だが、トバルカインの技術が優秀であればある程に、逆にイヴからの人気も高く、イヴから求められるトバルカインはカーストの上位に位置していた。
この男は中々の趣向が捩り狂った男であり、他のトバルカインとイヴの間に割って入り、イヴを自らの所有物にするのが好きな典型的な寝取り男であった。
セレネ、そう呼ばれるイヴの前に立ち尽くすオウガは持ち前の優れたルックスで語り掛ける。
「俺のモノになれよ、あんなクソ野郎なんかより、俺の方がよっぽど、セレネちゃんを大切にしてあげるぜぇ?」
ねちっこい言い方に、イヴは心底うんざりをした様子で男を睨み付ける。
彼女の肉体は華奢で、大柄なオウガの前では巨人と小人に等しい。
けれども、セレネは決して怯む事無く舌打ちをすると共に言い放つ。
「キショい、退いて、あと、死ね」
口の悪い彼女の言葉に、しかしオウガは怯む事が無かった。
「きっと俺達、相性が良いぜ?そのエスっ気も、たまんねぇな」
舌なめずりをしながら語り掛けるオウガ。
お高くとまるイヴと言う造られた代物を、自らの手で屈服させるのが、この上なく至高な事であると、オウガは思っていた。
自らの手で、熱を与え、悶え、喘ぎ、苦しみ、そして服従する、その過程を連想するだけで……興奮が留まらない。
「いいだろ?なあ」
オウガがセレネの手に触れる。
鋼を鍛つ槌手の熱が、セレネに流し込まれようとした瞬間。
「悪いけれど……ボクのモノに触れるのは止してくれ」
その言葉と共に、オウガの手首を掴んで離さない男の手があった。
声と共に、オウガは男の方に視線を向ける。
煤の様に灰色の髪を伸ばす男は、儚げな笑みを浮かべながらオウガに相対していた。
「エントっ」
セレネは自らの
その男の姿を認識すると共に、セレネは早々とエントと呼ばれる青年の後ろに隠れる。
「野郎が触ってんじゃねぇよ!!」
そう苛立ちを隠せない様子で、オウガが手を振り払う。
けれど、その膂力を征するエントは強く握り締めた状態でオウガに顔を近付けた。
「彼女はボクの作品だ、それが完成するまで、手出しは無用で頼むよ、オウガくん」
オウガの額から汗が流れ出す。
そのあまりに強い握力に腕がへし折れそうだった。
睥睨する視線を受け続けながら、脂汗を流すオウガの手首を離すと同時に、今度は掌を掴んで握手をした。
「うん、分かってくれたみたいで安心したよ、ありがとう、オウガくん……同じ
オウガは肝が冷えただろう。
腕骨が軋む程の握力で掌を握られれば、掌が粉砕されてしまうのではないか、と。
だが、その優しい握り方に、掌が破壊される心配がなくなり安堵の息を漏らした自分に腹立たしさを覚えた。
今度は、エントの手を振り払う事に成功すると、ジンジンと響く掌をポケットに入れて踵を返した。
捨て台詞を吐く事すらせず、その場から離れるオウガの背中を見詰めながら、セレネの方に視線を向ける。
「エント……怖かったよぉ……」
甘い声を漏らすセレネ。
膝が笑っているのか立っているのもやっとの状態だ。
「遅くなったね、一人にして悪かったよ、セレネ」
優しい言葉を口にするエントは彼女の顔を見て笑みを浮かべた。
その優しそうな表情に、セレネは心の内からじんわりとした熱を抱く。
「うん、……良いよ、許したげる、エント」
そう呟きながら、セレネはエントの腕に強く抱き締めた。
そんな彼女の脅える様を見ながら、エントは彼女の体の具合を熱で確かめる。
(……もうそろそろ、かな)
彼女を武器としての完成。
それを、エントは少なからず確信していた。
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