月光の王女と盗賊の秘薬を飲んだ青年
鏡戸桃
プロローグ
「ねえ、知ってる?女となって水星と交わった王を。」
王女と同じ寝台の横に座り、女はそう言いました。
蝋燭と月光だけの弱い光の中でも、物語を語るその唇は赤く艶やかで、爛々と輝く瞳と、紅潮した頬がえもいえぬ色香を醸し出していました。
見た目は女の理想を写しだし、中身は男の理想を体現したような娘でした。
その顔を、髪を、体つきを羨まぬ女はおらず、その容姿の、声色の、話術の虜にならぬ男もおりませんでした。
自分を
暁と夕暮れに違う顔を見せる金星は、彼女の可憐さと狡猾さによく似合っている、そう思ったのです。
王女は半ばその少女に見惚れながらも、どうしてこうなったのか思い返し始めました。
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