第四節

ここは野菜村、とびきり美味しい野菜が収穫できる不思議な土地。その近くに山があった。ある夜、その山の頂上に雷が落ちた。夜が明け、村の人々が何やら話している。

「昨日の雷気づいた?」

「あぁ、寝てて雷の音聞いたら体がビクってしたよ」

山の方から人が駆け下りてきた。

「おーい、なんか頂上に刺さってるぞ」

村の人々は気になって見に行った。すると、山の頂上には確かに剣が刺さっていた。

「勇者の剣ってやつ?抜けたら勇者みたいな」

「それはおとぎ話でしょうに」

村の人々は1人ずつ剣を引き抜こうと試した。村で一番力が強い男も試してみたがそれでも抜けない。

「昨日の雷が関係してるなら、天からの贈り物やな」

「ここの観光名物にでもするか」

「新しい伝説の誕生だね」


そして、数日が経った。村の外の人も試しているが相変わらず抜けない。

その夜、ライトは歩いていた。

「浪止様も指さすもんだからすぐ近くと思えば、こんなに距離があったのか。何日かは歩き続けたぞ」

ライトはその山の頂上に着いた。

「よいしょっと」

ライトはいとも簡単に剣を抜いてしまった。

「ずいぶんすんなりだな。本当に勝手に持っていっていいのかな?というか、こうしちゃいられない、すぐ引き返さなきゃいけないんだった。月はあっちの方角か。急ごうっと」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る