第15話 お次は何だ??

 「「AHHHHH!!!!!!!!!!」」


 2人は湖までの下り坂を転がるように全力疾走した。鬼より速いスピードで。


 「もうほんとにラストトライにしたい!もうほんとにラストトライにしたい!もう僕の心臓がもたんよ!!」


 湖の中間ぐらいで既に鬼は撒いたようだ。だが2人は止まること無く、出口に向かって突っ込んで行った。


 「南澤。アノ鬼、泳ぐからな。出口に着くまでは1ミリも油断できんよ」


 「たしかにな」


 2人は湖を抜け、地表への出口までの上り坂を一気に駆け上がった。坂道の中腹まで来たその時だった。


 ボゴォン!


 「「む??」」


 背後からの異音を聞いた南澤は、前進しながら後ろを観ると、岩壁から鬼が出てきた。


 「ちょ、平澤。鬼来てる!!」


 「チョ待てよ、南澤。そっからも来んのかよ!!」


 「このステージの全ての岩壁、水辺から鬼が来るという仮説が仮にあったとしたら、合理的に考えてさすがにヤバイんじゃあないか、このステージw」


 「つまりだ南澤。単純にこのステージをクリアすることは不可能なんじゃあないか。しかも黄金スニーカーも無しで」


 2人はようやく地表に出た。鬼は追ってこない。

 

 「一瞬落ち着こうか平澤。アノ桜の木あるだろ?今は鬼がいないからあの奥に進むってのはどうだ?」


 「や、やるしかない」


 2人は未知なる奥へと進んだ。南澤は常に後ろに気を配っている。


 「うえ〜ごつごつしてらあ。てか南澤。このままだと火山まっしぐらだぞ。大丈夫か?」


 ボゴォン!


 「大丈夫じゃない!大丈夫じゃない!全然大丈夫じゃない!!」


 「走るぞ速く!平澤!」

 

 「マズイぞこれ!マズイぞこれ!」


 「平澤!今回の鬼、なんか速いぞ!速く速く!!」




 バグォオン!!



 

 「「お次は何だ??」」


 「南澤。でかいミミズだけは勘弁な」


 赤黒い大きな溶岩の一角が、突如として揺れ出した。


 「「トナカイ??!!」」


 「南澤。アレはトナカイだよな?バカデカイけど。20mぐらいはあるんじゃあないか?サンタさん何人乗りだよ」


 「ああ。真っ赤なお鼻のトナカイさんだ。またしても火山とミスマッチなものを異界はご用意したか。まあ異界だから良いけど。雪山のステージとかで良かったじゃあないか」

 

 あくまで現実世界で例えるとだが、2人の前に現れたのは紛れもなく赤鼻のトナカイであった。体長約20mの巨体に約10mほどの大層ご立派な角が頭上からそびえ立っている。ただ外皮は哺乳類のそれではない。まるで溶岩でできているかのような強固なものだ。


 そのトナカイはゆっくりのっそりと4本足で立ち上がった。その下にはマグマの水溜まりができている。熱さに耐性があるようだ。暴れる様子はない。


 「南澤。こいつら同士が勝手に闘ってくれたら楽なんだがどう思う?」


 「でもあのトナカイ。図体だけでかくて役には立たなそうだぞ。むしろ良く観るとちょっと可愛いじゃあないか」


 「南澤。前に鬼にも可愛いって言ってたよな?性癖歪んでんじゃねえか?それか病院行きな?」


 「そうするか。それはここを無事に出てからの話だがな」




 ブワォオオン!!!




 「「お次は何だ??」」

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