第10話 必勝法 前編
「南澤。この爆速疾走でラストトライとしたいところだな」
「同感だ」
「んでどこ行くよ?南澤」
「『生命の分かれ道』かな」
「了解!」
2人は超スピードで『運命の民家』を越え、最果てエリアの1つ、『生命の分かれ道』へと向かった。
『生命の分かれ道』はいくつもの傾いた壁で仕切られた細い通路が乱立しているエリアだ。通路内には、ガスコンロ、テーブルなどが置かれ、とても細い家の中を想像させるようなつくりになっている。敷地面積は3,000㎡ほどだ。
「おい!!いまの右の道、なんか光るドアがあったぞ!」
「何!?だと!!」
「、、、ダメだ!慣性がつきまくってて戻れやしない!頑張って別の道から行くとしよう」
「そう、だな。だが平澤気をつけろ。この細い道で正面から鬼が来たら、、、」
「そのときはそのときさ!それに僕、分かっちまったのさ!完全に。この鬼ごっこには必勝法があるのさ!!」
「なに?!おせーてくれよぉ!」
「ふん。さすがの南澤にも分からなかったか。いいか?この鬼ごっこの必勝法は黄金スニーカーにある」
「それはさすがに分かる!で?」
「そしてこの黄金スニーカー。この効果を消さない方法がある!」
「おおお?!」
「それはな、南澤。『止まらない』ことだ。過去2回効果が切れたとき、僕は自らの意思で止まろうとしたんだ!1回目のときは無意識だったが、恐らくそういうことだ!」
「なるほどな。まぁその可能性にいまは掛ける他ないってことか」
2人はそんな会話をしながら、がむしゃらに走り続けた。
「平澤!いまの右だ!!」
「クソッ!難しすぎる!止まらずにはいられない!」
「ダメだ!同じ道の後ろから今、鬼が入ってきたぞ!」
南澤は後ろを向き、前進しながらそう応えた。
「南澤。こうなりゃあ、一か八か行っとくか」
「平澤!策があるのか?」
「『策』ではないっ!『覚悟』を決めるんだっ!」
「お、おう!」
「いいか南澤。僕はこれから止まらずにこの道をUターンする!シャトルランの要領でな」
「、、、なるほど」
「不安か?南澤。止まったと見なされ効果が切れるかもな。だがもうやるしかないんだ!」
「すまない。不安はない。少なくとも平澤よりはな」
「なるほど〜そうなりゃあ不安は皆無ってやつだぜ!僕達一蓮托生だしな!」
「そうだな平澤。2人で行くしかねえ!」
この緊張状態で2人は同時に笑みを浮かべた。
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