第8話 八方塞がり
「やべ!もう来た」
「来たかー」
2人の安息は僅か1分ほどで終了しようとしていた。南澤が等速に動く鬼を捉えた。平澤も走り出す。
「どうする?南澤。また『運命の民家』方面に戻ってその先を行くか?」
「平澤。『逆様の丘』方面に戻ろう。今は黄金スニーカーじゃないから先に行くのはリスクが高い」
「了解。南澤!いつもありがとよ!!」
2人は『逆様の丘』まで走った。どうやらもう重力は正常に戻ったらしい。空も青空が広がっている。
「平澤。『希望の森』に行こう。あそこに出口があるかもしれん」
「お!僕も同じことを考えていたよ」
2人は小さな竹林を走った。どうやらここに出口らしきモノはないようだ。だが1分ほど走り回った結果、鬼を撒くことはできたようだ。
「平澤。やはりまた『楕円のメインフィールド』まで戻ろう。すまない。そして『変化の泉』辺りに行ってみよう」
「イイネ!」
2人は再び『楕円のメインフィールド』まで走って戻った。『変化の泉』は先ほどの『運命の民家』のすぐ近くだ。文字通り、泉がある。少なくとも現実世界の方では。
着いた。現実世界の方との差分はない。ちゃんと泉がある。出口らしきモノはないが。
「南澤!やっぱ泉は心が癒される感じがしてイイな~」
「ここにも出口は無しか。すまない」
ただやはりこの束の間の休息も、1分ほどしかもたなかった。また鬼だ。なぜか後ろにいたはずの鬼が正面から、泉の上を一直線に横切って向かってくる。どうやらよく見ると鬼は少しだけ宙に浮いて動いているようだ。水の抵抗を一切受けていない。
「アブねー野郎だ」
「全くだな」
「とりあえず『運命の民家』に戻ろう!あそこは広いからもうちょっと探せば出口が見つかるかもしれん!」
「名案だ」
2人は走り出した。
「南澤!僕の背中は頼んだ!」
「ああ。常に後ろも見てる」
そう言うと南澤は後ろを向きながら前に進むという、ファンタジーの世界でしか人間にはできない飛行体勢に入った。
「それよか平澤はちゃんと前を見てくれよ。足場が不安定だってので全国的に有名になった公園なんだから、ここは」
なんだかんだ2分ほどで『運命の民家』にたどり着いた。鬼は撒いた。
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