第4話 鬼が来る 後編

 「おい!」


 「静かに。平澤」


 5mほど離れたジャングルジムの影に鬼はいた。動いてはいないが辺りを見回している。2人を探しているに違いない。


 「ちょっと私、観てくるわ」


 「ハ?」


 南澤は3mほど高度を上げ、迂回してゆっくりと鬼に近づいた。鬼は全く気づいていない。そしてしばらくすると戻ってきた。


 「どうだった?!」


 「目が真っ黒、白目が無い。あとお面とか特殊メイクでもない。アレはガチの鬼だ。でもキョロキョロしてて可愛かったぞ」


 「要らん情報ばかりをよくもまあw」

 

 「すまない平澤。ただここで隠れててもジリ貧だ。出口を探そう。距離をなるべく大きく取って迂回するんだ」


 2人はゆっくり歩き始めた。鬼が気づく様子は無い。


 「行けそうだな。平澤」


 「ああ。それにこの距離なら気づかれても走って逃げれる」


 2人がちょうど鬼の真横の少し後ろ寄りに到達したとき、鬼が彼らめがけて動き出した。

 

 「「マズイ!!」」


 結局再び平澤は全力疾走する羽目になった


 「南澤!出口ってどこだ?」


 「私に聞くなよ。分からん。見当もつかない」


 「南澤!!」


 南澤は平澤を見捨てるようにグングンと高度を上げていく。それを見送ることなく、平澤は走り続ける。


 「平澤!!左に進むと建物らしきモノが観えるぞ!!!」


 「お?!南澤!ありがとよ!!!」


 建物らしきモノはどうやら地下へと続くエレベーターであった。2人は迷わず乗り込み、閉めるボタンを連打する。


 「「ふ〜助かった。文明の利器に感謝」」

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