第2話 異常事態

 公園 恐らく昼 快晴

 「南澤!ここはどこだ?」


 「私に聞くなよ。分からん。見当もつかない」


 そう言うと2人は辺りを見回した。小鳥は歌い、蝶が舞っている。ただまず時刻がおかしい。さっきまで夕方だったのに、太陽は彼らの真上に位置している。次に季節と場所がおかしい。周りは綺麗な芝生と満開の桜が生い茂る大木に覆われているが、少し遠くを眺めると高層ビルが複数見える。明らかに彼らの地元の田舎ではない。


 「これは異界か?」


 「ハ?」


 「最近怪我で暇だったからアニメ映画観たんだがそれに似てる。恐らくここは現実世界ではない」


 「おい!おいおい!うぉい!!南澤よ、気を強く持ってくれよ。ファンタジーってことか?んな訳あるか!大体よ〜異世界でも松葉杖って辛すぎんか?そこは夢観させてくれよ!」


 「たしかに、、、ん?!」


 その時だった。南澤の体が宙に浮き始めた。ゆっくりと確実に、グングン上がっていく。1mほど浮上し、彼は松葉杖を手放した。次の瞬間、松葉杖は跡形もなく消えた。

 

 「すまない南澤。どうやらここは異世界だしファンタジーのようだ」


 「どーせなら足を治して欲しかったわ。歩きて〜」


 南澤は一応自分の意思どおりに空を飛べることを理解し、すぐにこの異常事態に飽きてしまったようだ。


 「南澤!静かに!」


 「ん?」

 

 「感じるぞ!不穏な殺気を」


 「はぁ」


 南澤は平澤が言っていることを理解できなかったようだ。平和なこの公園に殺気を感じている彼のことを。


 「アノ奥の桜の木が見えるだろ?木陰にナニかいるぞ」


 「お?」


 2人は恐る恐る桜の大木に近づいた。木陰には鬼のような赤い生物がいることを肉眼で確認できるギリギリの距離で彼らは止まった。


 「南澤。あれは鬼か?」


 「たぶんそうだな。どう観ても鬼だ。もしくは、なまはげか。にしても小さいなあ。小鬼か?w」


 次の瞬間、その生物は2人に気づいたようだ。懐から鉈のような明らかにヤバイ凶器になり得るモノを取り出した。


 そして2人めがけて動き出した。

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