第4話 学園の帝王!
出洲戸呂井学園高校を牛耳る3年Z組、そのドアが勢いよく蹴破られ、ゲンジロウ達が乗り込んできた。
「俺の名前は春日ゲンジロウ!
さっそくだがお前達に教育的指導を行う!
お前ら全員尻を出せっっ!!」
ゲンジロウの様子を教室の後ろから見ていた一際大きく異様なまでのオーラを放つ男がいた。
出洲戸呂井学園高校の帝王と呼ばれる番長、その名は土門ガイ。
土門はゆっくりと立ち上がり、ゲンジロウをにらんだ。
「貴様が春日ゲンジロウか・・・」
「お前が番長の土門だな?」
「いかにも・・・
Z組に乗り込んでくるとは命知らずのバカよの・・・
その無謀な勇気に免じてこの俺直々に殺してくれるわっ!」
そう言うやいなや土門の剛腕右ストレートが飛んできたが、ゲンジロウは素早くかわして後ろに回り込み浣腸の発射態勢を整えた。
「終わりだっ!土門っ!」
だが、ゲンジロウの人差し指が土門の肛門に刺さることはなかった。
「な・・・なに?
こ・・・これは便秘!!
たまり過ぎて鋼鉄のように固くなった便秘が俺の浣腸を防いだ!?
まさか・・・これは・・・」
「くくく・・・俺に肛聖浣腸拳などきかぬわっ!」
土門の強烈なパンチがゲンジロウの顔面をとらえ吹き飛ばされたゲンジロウは壁にめり込んだ。
その様子を見た校長が叫んだ。
「あっあれは肛魔便秘拳!!」
「肛魔便秘拳って?」
校長が隣の女生徒の質問に答えた。
「肛魔便秘拳とは肛聖浣腸拳と対をなす殺人拳!
その極意は便秘を鋼鉄化させることにあるという。」
「分かったわ。ありがとう。」
「そして肛魔便秘拳には3000年の哀しき歴史が・・・」
「校長先生、歴史とかそういうのいいから!」
一瞬校長は悲しそうな顔をしたが、2人の戦いを見守ることにした。
壁にめり込んだゲンジロウは、薄れゆく意識の中、兄シーラガのことを思い出していた。
シーラガはその日もいつものように穏やかな笑みをたたえていた。
「ゲン、お前はすごい剛のパワーを持っているが、それに頼り過ぎている。」
「でも兄さん。パワーは大事だよっ!」
「ゲン、強いものと強いものがぶつかったら、言い換えると固いものと固いものとがぶつかったらどうなる?」
「・・・両方壊れる?」
「そうだ、今のお前と同じだ。
もし今、お前と同じくらいのパワーの持ち主と戦ったら、ぶつかりあってしまって両者共倒れとなってしまう。それでは勝利とは言えない。」
「じゃあどうすれば・・・」
「そこで、剛ではなく柔、柔の拳が重要になってくるんだ。
柔の拳は相手とぶつからない、柔らかくいなし、固い相手を柔らかくもできる。明日からお前にもやり方を教えてやろう。」
「うんっ!」
「いいか、ゲン。固くていいのはちんぽだけだぞ。
はははっ!」
「兄さん・・・あははっ!」
(兄さん・・・柔の拳・・・そうかっ!)
ゲンジロウの目に光が戻り、壁から勢いよく飛び出した。
その様子を見て、土門がニヤリと笑い
「ほう、なかなかタフではないか、だが、この俺には勝てぬわっ!」
「それはどうかな・・・」
ゲンジロウは目の前の空気の塊を優しく撫でるようにしなやかに腕を動かしながら構えをとった。
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