CUT「RPG in real life」(1 to 9)

ナカメグミ

CUT「RPG in real life」(1to 9)

 日常生活のあらゆる断片にユーモアを(視聴条件・学校、職場、家庭などで演じる役割を、ジョークと皮肉で笑いとばしたい方へ)。


①「本当は、あなたが殺したんじゃないんですか?」(At the court)

25年ほど前。傍聴していた刑事裁判で、公判担当検事(法廷で話す役の検察官)が、2、3回にわたって被告人に発した言葉。

 これまで否認している被告人が、この場で「はい、私が殺しました」ということは、ほぼ100%ないわけで。検察官としての役に100%徹したゆえのお約束のセリフ。声量だけが、やたらでかい。

 笑いをこらえるのに必死でした。


②「おまえ、クズだろ」(At the junior high school) 

 37年前。ドヤンキー中学校に3年生の春に転校。いじめにあわぬよう、1ヶ月をかけて「おっちょこちょいな優等生」というキャラをほぼ確立した私に、席が真後ろのヤンキーくんから放たれた銃弾。家庭がアウトレイジで超有名だった彼の慧眼に、おそれを感じるとともに友情を感じた。

 出席番号の都合上、テストのカンニングを手伝い、正犯と幇助として担任から頻繁に怒られる。しかし担任も、このヤンキーくんを敵に回すとクラス運営が成り立たないことを知っているので、怒るのもRPG。


③「新婦とは高校時代の大親友で」(At the wedding ceremony)

 27年前。友人の結婚披露宴で、人生で最初で最後の友人挨拶をしたときの言葉。緊張で食事はのどを通らず、原稿に大親友だからこそ知る裏の本性が滲み出ていないかをチェック。もう2度と友人挨拶の役は引き受けないと決意した。

 個人的に、結婚式ならびに披露宴ほどくだらないものはないと思っており(あくまで個人的な意見)、自分も挙げていないし、子どもたちの式に出るつもりもない。


④「What Does The ✕✕ Say?」(At the stadium)

 3年前。子どもとパ・リーグの球団を応援に行った際の戸惑い。応援ガールズのダンス披露がたくさん入るスペシャルデイで、かつ男性コメディアン兄弟のデュオがノルウエーから来て生歌を披露した。

 私と子どもの耳には、英語の放送禁止用語をひたすら連呼しているようにしか聴こえないのだが、入口で配られたプラスチックのきつねのカチューシャをつけて、周りのノリノリのファンに紛れた。


⑤「これ、ちゃんと持って!」✕2(At the park)

 休日の父親が、ベビーカーの我が子におもちゃを握らせようとしながら強い語気で発する言葉。でもおそらく1歳未満とみられる子は持てず、言葉も理解していない。傍らの母親も戸惑い気味。

 大丈夫。お父さん。ぼーっとしてて。休日に力むと、自分も家族も疲弊しますよ。


⑥「あの子、かまってちゃんだよね」「うん、メンヘラ入ってる」(At the subway station) 

 平日の夕方。帰宅時間の女子高校生2人。「かまってちゃん」「メンヘラ」。愚かだな。そうやって軽々しく言葉使って、マイナスのカテゴリーを広げていくと、どんどん「普通」の幅が狭まって。「普通」の人の役を演じるのがつらくなって。自分の首を絞めていくのに。いつ「普通」じゃない側にいくのか、わからないのに。


⑦「✕✕ちゃん(くん)、すごーい!」(In front of the music school、English school)

 近所のショッピングモールに入る音楽教室や英語教室前の親子連れの会話。お互いの子どもを、ワントーン高い声で褒め合うのがお約束。「バイバーイ」と別れたあと、良い母親の役が、我が子に猛特訓を施す毒親役に変わることもあるので要注意。


⑧「もういっぱい、どうですか?」(Izakaya at the airport)

 明らかに出張帰りの男性上司と男性部下。「おつかれさま」と始まった出張打ち上げの会話は、上司のジョッキが空くたびに、部下の上記の言葉で中断される。そしてたいていの場合、上司に頻繁に気を遣うこの部下は、店員に飲み物を追加注文するときの態度は横柄。


⑨「やらかしちゃったな」(At home)

 50代の無職女性が現在進行形で続ける、究極のRPG.。1度は本気で死を考えた自宅及びその周辺で、何食わぬ顔で普通の生活を送るという究極のホラー系RPG。クリアできるかな?(「かまっておばさん」の冗談。ここ、笑うところです(笑))。


It’s all a kind of joke!

END
















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