【新版】龍の案内人と焼痕の旅人
🐉東雲 晴加🏔️
序章―願い―
風が唸る。
木々は揺れ、白銀の龍は闇夜に舞い上がり、その身体をより浮かび上がらせた。その白い巨体は、二人を振り返りもせず、ゆっくりと高く空に舞い上がってゆく。
(アルグントラウス山の龍よ。どうか、どうかアザードに鱗をあげて)
ナギは願った。
今までの日々に何の不満もなかった。幸せだった。
家族のいない日々に、自分も寂しさを感じなかったわけではないけれど。
彼に出会うためだった。きっと、彼をここへ導くためだった。
その役目のために、もし自分がいたのだとしたら、
(お願いだ。彼の焼痕を消してあげて欲しい)
彼が、新しい道を行けるように。笑って生きられるように。
その願いが叶えば、ナギは本望だ。
遠く、近く。風鈴が幾千も鳴ったような音がする。
夜のはずなのに、鱗が白く光り輝いて、周りは昼間のように明るい。
そのうち、鈴の音も風の音もすべての音が一瞬止んで無音になる。ナギはそのうち光の渦に包まれて、何もわからなくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます