第三章 音声データ

放課後、

真衣のスマホに知らない音声ファイルが届いた。

ファイル名は「_yuma_record1.wav」。

再生ボタンを押すと、

古びた教室のような音がした。

窓のきしみ、風の音、そして――

「……ここ、さはら……聞こえ、るか……」

ノイズ混じりの声。

でも確かに、“誰かの名前”を呼んでいた。

「佐原……?誰?」

検索しても、

その名前はどこにも出てこなかった。

ただひとつだけ、古い学校の掲示板の書き込みがヒットした。

『旧校舎で行方不明になった生徒 佐原悠真(当時17歳)』

日付は――10年前。

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