第8話 施設の秘密の場所
(あらすじ)
施設に帰ってきた、田中と木村。
夜に目が覚めた田中は、廊下に覚えのない人影を見かける。
その人影は、廊下の端で何かを操作していた。
急いで木村を起こし、一緒に後をつけ、その人影が開けた扉に、何とか入ることができた。
そして扉の奥にいた、扉を開けた張本人は、なんと森嶋だった———
—————————————————————————————————————
「なんでお前がここにいるんだ?!」
僕は森嶋に問うた。
なんせ、ここは僕らが暮らしている施設だ。
こんな扉があったことも、当然知らない。
すると森嶋は何も言わずに奥へ進み始めた。
階段を降りて、何やら広いスペースについた。
「いらっしゃ~い。あぁ、森嶋ちゃんか~」
カウンターのような場所にいる男が話しかけてきた。
まるでかなり森嶋と親しいかのような口ぶりだ。
もしかして、森嶋は頻繁にここにきているのか?
「あれ?森嶋ちゃ~ん?」
男の表情がすこし険しくなる。
「今日、そんな人を僕たちは招待した覚えがないんだけど。」
かなりドスの利いた声で話しかけてくる。
「森嶋ちゃん。だれだ?そいつらは?」
「ヒッ」
木村が思わず声を出した。
これ、ほんとに来たらダメな場所に来てしまったかもしれない。
すると、ようやく森嶋が口を開いた。
「この子たちは私の友達なの。通してくれないかしら。」
森嶋が僕たちをかばってくれた?のか?
「そうだったのか~まぁ通してやらんこともないが、次から許可を仰いでくれよ~」
男の口調がフランクになる。
助かったみたいだ。
そうして森嶋と僕たちは奥へ進む。
ここでは、スポーツ賭博だったり、賭けポーカーをしているように見受けられる。
(あなたたち、どうしてここにいるのよ!)
森嶋がしゃべりかけてくる。
そうして僕たちは事の顛末を森嶋に伝える。
(そうなのね。でも、ここは危険だから、早く施設に帰りなさい!)
(え?でも、帰り方がわからなくて...)
森嶋は、非常口と書かれている扉を指さす。
(あそこから出られるから、早く行きなさい!)
僕らは森嶋に礼を言いながら、そそくさとそこから出ようとする。
扉の前まで来て、ドアノブに手を伸ばした。
バチィ!
(痛っ!)
静電気が僕の手にあたる。
結構痛くて、すこし声が出てしまった。
(おい、なにしてんだ!)
木村が急かしてきて、木村もドアノブに触れる。
「痛っ!!」
(大きい声出すなよ!木村!)
「違っ!静電気が...」
突如、木村が黙り込む。
まるで、何かに気が付いたかのように。
(おい、なにぼーっとして...)
ドアに、黒い影が、映っている。
僕らの影の形もわからないほどの大きな、影が。
明らかに、後ろに誰かいる。
僕らに振り返る度胸はない。
「おい。」
「お前ら、なにさらっと帰ろうとしてんだ?」
扉に移っている影が、手のようなものをこちらへ動かす。
直後、後ろから物音が聞こえた。
「田中ァッ!」
木村の声だ。
とっさに振り返る。木村が、大男に首をつかまれていた。
「ここに来て、すぐ帰ろうとしてる。」
「お前ら、森嶋に招待されてないだろ。」
図星を突かれた。
「ここに来たからにはただで帰すわけには、いかないな。」
そう言うと、大男は背を向く。
「森嶋ちゃ~ん?どういうことか説明してもらっていいかなぁ?」
そして森嶋がこちらへ来る。
「目撃者は、消さないとダメ。それがここのルール、だよな?」
森嶋は、すこし黙ったあと、少し拳を握りながら、口を開いた。
「えぇそうだわ。だけど、ここには、こんなルールもあるわよね?」
「揉め事は、なるべく起こさない。って。」
大男は少しだけ、にやけた顔になる。
「消しゴムバトルで決めましょう?」
森嶋が消しゴムバトルでの決闘を提案する。
「受けてたとう。」
大男は、意外にもその提案をあっさりと承諾した。
「だが、お前らが逃げられないよう、人質はあずからせてもらうぞ?」
そういって、木村を別のところへ移動させようと、無理やり連れていく。
「おい!なんで俺なんだよ!田中が言い出しっぺだっただろって!」
「お前が人質になれよ!責任取れぇぇぇ!!」
そんな叫びもむなしく、木村は別室へ連れていかれた。
しばらくして、ここの上の方についていたモニターに木村が映し出される。
「こいつには、今、爆弾が巻き付いている。」
「お前らが負けたその瞬間。お前らは友達とおさらばだ。」
結構グロいことを言ってきた。
「田中ァ!お前のせいだからな!末代まで呪ってやるぅぅぅ!」
あいつ、多分僕で末代なのに何を言っているんだ?
ただただ僕を呪うだけじゃないか。
「ふっ、かわいそうな木村博士。」
「お前が!殺したんだろうがァァァ!!」
モニター越しでもこっちの声が聞こえているみたいだ。
少しだけ、気持ちが落ち着いた気がする。
大丈夫だ、僕なら勝てる。
ステージに上がり、相手と向き合う。
木村の生死を賭けた戦いが、いま、始まる。
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(あとがき)
投稿遅れた。
テスト期間だからあんまり投稿できない。
すみません
異世界転生したので消しゴムバトルで天下をとります! 月巻き @Tukimaki
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