異世界転生したので消しゴムバトルで天下をとります!
月巻き
第一章 初戦
第1話 異世界で消しゴムバトルとか聞いたことない。
僕の名前は田中。田中亮介(18)だ。
友達からはTNKと呼ばれている。 いったいどうしてイニシャルですらないのか。
18年前...というか前世では別の世界にいたらしく、
ある少年雑誌の応募はがきで巨大消しゴムに当選したのち、SNSに上げようとして下敷きになって死んだらしい。
その後、転生して僕が生まれた後、親は僕を捨て、
物心がついた頃には僕は孤児として施設に預かられていた。
異世界転生したら大体チート能力とか授かれると思ったが、全然そんなことはなく、異世界無双とかは正直言って夢のまた夢である。
ただ、この世界はかなり特殊で、消しゴムバトル、略して消しバトがこの世界では義務教育になっていたりする。
平和に物事を決めるときにさえ用いられ、政治的な事項にも消しバトが用いられているほどなのだ。
そしてこの世界には人間界と魔界が存在していて、毎年魔界代表対人間界代表で消しバトをして、勝った方が相手の世界への渡航権を獲得し、お互いの種族と親睦を深め合う。
ものすごく平和な世界である。
「おーい田中~」
「おっ、よぉ 木村ぁ」
同じ施設で育った幼馴染の木村だ。
別の奴からは尾田っていうあだ名がつけられている。なぜかは知らない。
「お前どの消しゴムで戦うんだっけ?」
「あーどれを使おうかな…」
「30分前には委員会に使う消しゴムを報告しないとダメだろ?大丈夫かよ…」
「まぁまだ締め切りまで一時間あるし大丈夫だよ。」
「本当かよ…」
僕らは今消しゴムバトルアリーナ、略して消しアリの前にいる。
今日は高校生部門の一年に一回、大体四月に開かれているアマチュア大会で、去年に僕が準優勝した大会だ。
今年は全6大陸の予選を勝ちぬいた全32人がこの会場に来ている。
このトーナメントに優勝した人だけがプロ消しバトラーになれるのだ。
そしてそのプロ消しバトラーもまた、一年に一回、大体九月に開かれるプロ大会で優勝を争う。
その様子は毎試合全TV局が協力して、全試合同時生中継されるほど人気を博しており、それでギャンブルする会社もあるとかないとか...
「早く決めないと時間に間に合わないぞー」
「もう俺は先に受付してくるから、お前も早めに決めろよ~」
木村は先に会場に入りたいらしい。
「あぁ、また後でな、木村ー」
さて。
僕の持ち消しゴムは二つ。
一つは、消しゴムの両側面にHBの長さ10cmほどの鉛筆を巻き付け、カバーの内側にまっすぐの定規を差し込んだ、攻撃性が高く、差し込んでいる定規による防御性能もあるバランス型。 別名 カブトムシ
もう一つは消しゴムがプラスチックに長期間触れているといつの間にかくっついているアレの原理を応用した、上下両方ともに三角定規をくっつけた、スーパースピードタイプ。 別名 神風
大会の公式ルール的に同タイプの新品と競技に使う用の重量を比べ、20g以上増量していると、大会ルールに違反してしまう。
そのため、改造、パーツの追加にはかなり制約がある。
また、素消しゴムを使うことにも利点があり、相手の消しゴムの改造による追加重量と自分の消しゴムの改造による追加重量に10g以上の差がついているとき、重量の少ない方は、二ターンに一回だけ、二回行動ができるというルールもある。
要するに、相手の消しゴムより軽いことも利点があるということだ。
さて、長々と考えたが、結局どちらが良いのだろうか。
考えるのも面倒くさいな。
神風にしよ...
「おい、お前まだ運営に行ってないのか??」
うるさい木村が戻ってきた。
何もそこまで催促しなくてもいいじゃな...
「受付終了まであと15分だぞ?」
!!!!!!!!!!!
受付まで全力疾走待ったなしである。
「受付は何階だ!木村!!」
「四階だけど...」
その瞬間、僕は会場に向かって走り出す。
これは本当にまずい。
「おい、ちょっと待っ...」
木村がなにか言いたげだったが、こっちだって急いでるんだ。
かまってる余裕なんてない。
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なんとか会場までついた。
受付終了まで残り10分。
ふぅ、危なかったぜ...
「すみません、アマチュア大会の受付をしにきたのですが...」
「受付ですね。 少々お待ちください。」
一分ほど待って、受付の人がもどってきた。
「それではこちらに消しゴムを預けてください。」
「え?参加者確認はしないんですか?」
「消しゴムをお預かりした後、参加者確認をいたします。」
そして、消しゴムを受付の人に預けた。
適当に選んだが、神風のほうにした。
ようはスーパースピードタイプだ。
「それでは参加者確認をいたします。」
「あなたのお名前はなんでしょうか。」
「田中亮介です。」
「本人確認をいたしますので、身分証を提示してください。」
そして僕は身分証を差し出す。
「少々お待ちください。」
受付終了まで残り6分。
周りに人がほとんどいない。
「身分確認が終了しました。ご協力、感謝いたします。」
ひとまず、受付は終わった。危なかったぜ。
木村のところに戻ろう...
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(木村と合流)
「よぉ、受付は終わったか?」
木村が話しかけてくる。
「あぁ、めっちゃギリギリな。」
実際、本当にギリギリだった。受付が終わったときに時計を確認したら、残り二分だった。
「そんな田中にあることをおしえてあげよう。」
「え?何?」
木村が何か言いたげである。
「ネットで受付できるぞ。」
は?
「え?なんで言ってくれなかった?」
「言う前に走ってったじゃん。」
僕の渾身の走りは、徒労に終わってしまった。
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あとがき
こんにちは。月巻きと申します。よろしくお願いいたします。
私はこの小説が初執筆でございます。
読みにくかったり、すると思いますが、温かい目で見守ってください。
これからもよろしくお願いします。
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