7日目 NTR“蓄音機”


 “蓄音機”は寝取り寝取られ寝取るもの。これはドクターたちの常識です。

 また一方で“蓄音機”は、数多のドクターたちを追い詰めた罪な存在でもあるのです。


 今日はそんな“蓄音機”の悪夢についてお話します。


 そもそもアークナイツの“蓄音機”とは、一般的に知られている、音楽を聞くための機械ではありません。兵器の一種で、制御権を獲得した陣営を支援する強力なギミックです。


 制御権の奪取方法は簡単。“蓄音機”のとなりに味方を配置するだけ。そうすることで徐々にメーターが進んでいき、満タンになると味方陣営を支援をしてくれます。

 敵を攻撃し、味方を回復したりと、その効果は非常に有益です。


 一方で、敵側も“蓄音機”の恩恵を求めて制御権を横取りしてくるので、奪われないようにしないといけません。


 敵側の“蓄音機”を味方側に取り戻したり、逆に味方側だったものが敵側に寝返ったり……これこそがNTRと呼ばれる所以です。


 簡単に言ってしまえば陣取りゲームのようなもの……なのですが、だいぶフェアじゃない戦いを強いられます! 理不尽マシマシの最悪ギミックと巷じゃもっぱらの評判。


 まず、制御権の更新ペースが敵と味方では差があります。味方が制御権を1確保する間に、敵は2確保できるのです。しかも敵はぞろぞろと徒党を組んでやって来るので、制御権の奪取速度は4、6、8とますます差がついて、あっという間に敵側に“蓄音機”が持っていかれてしまう。


 仮にやっとの思いで“蓄音機”を獲得したとしても、新たな刺客がやって来ます。通称シャーマンです。人によってはシャーマンの文字を見ただけで蕁麻疹が発生するレベルの汚物。


 なんとシャーマンたちは、HPが0になるとその場で自爆し味方に超大ダメージを与えた挙げ句、“蓄音機”の制御権を一瞬で敵側に書き換える究極奥義を持っています。


……????????????????


 シャーマンの荒し行為でこちらの苦労がすべて水の泡。そのままあっという間に戦線崩壊して作戦失敗……は、見慣れた光景です。


 ただし、制御権の奪取は、シャーマンの自爆の爆風が“蓄音機”に当たった場合にのみ発生します。ならシャーマンは、蓄音機から遠い位置で対処すればいいのでは? と思うかも知れませんが甘いです。メープルシロップをガムシロップで割るくらい甘いです。


 まず、戦場に配置できる味方の人数は限られており、“蓄音機”の制御権奪取のために人数が割かれているので、対応可能な人数はほかのステージよりもはるかに少ない状況。加えてシャーマンは基礎ステータスも(なぜか異様に)高く、味方のエースキャラでも手を焼くほど強いので、倒すには必然的に複数の味方のサポートが欲しくなります。


 しかし配置できる人員数は限られている。なら散開させて配置するより、密集陣形を組んで迎撃するのが効率がよさそう。では、複数の味方が固まっている地点とは……そう、“蓄音機”のまわりです。

 あとは、もうおわかりですね……?


 ここで、もういっそのこと“蓄音機”を無視して味方の火力でごり押し攻略をしてやる! という脳筋戦法が思い浮かんだことでしょう。しかし、それを咎めてくる強敵が満を持して登場します。

 それがマドロックの巨像です。ゴーレムのような見た目をした、重戦車型の強敵。移動こそ鈍足ですが、一撃ですべてを粉砕する超攻撃力と、圧倒的な超超高HPを兼ね備えており、“蓄音機”の援護で倒すことを前提とした設計がされています。


 このように、ステージクリアを目指すには、必然的に“蓄音機”と向き合わなければならないのです。


 これが、ドクターたちに語り継がれる“蓄音機”の悪夢です。


 ……なんて、悪い方向へ、悪い方向へと語ってきましたが、じつは自分、この“蓄音機”のギミックがなんだかんだ好きです。


 人間誰しも、期間限定や数量限定、あとギミック戦って言葉が大好きですからね()!


 “蓄音機”に振り回されるのがストレス、という意見も理解できますが、逆に言えば、“蓄音機”を有効活用できれば、困難な盤面もひっくり返すことが可能なのです!


 “蓄音機”が初登場した当時、味方がまだまだ育っておらず、敵とのステータス差に苦しめられている時期でした。ですが、その穴埋めをしてくれたのが“蓄音機”なのです。

 だから“蓄音機”の援護は非常に心強かった。ほかのイベントステージよりも優秀な戦績を残せたのは、“蓄音機”のおかげだったと言っても過言ではありません。


 まあ、それでもステージ内容が難し過ぎたから完全クリアには至ってなかったんだけど(小声)


 また、“蓄音機”のようなギミックには“召喚物”が有効という知識(テクニック)はそこで獲得したんですよね。それらの経験は、現在でも大いに役立っています。


 “蓄音機”は、ギミック戦の面白さを自分に教えてくれました。郷に入っては郷に従え……ということです。なんと奥ゆかしいのでしょう。


 そして根底にあるのは、やはりこのゲームの自由度なんですよ。

 正攻法通りギミックを利用して盤面を有利に進めるも良し、ギミックに頼るなんて女々! キャラパワーですり潰すのが正義! これもまた一つの正解。人の数だけ攻略方法が存在するのがアークナイツの好きなところ。


 “蓄音機”と出会って四年近く経った現在でも、あのときのことを忘れられない……。やはり“蓄音機”って、魔性のおん……いや、言うのはやめておきます。

 高嶺の花です。いますぐその角から飛び出してきてください。

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