第3話 期待と不安
俺の家は大学の最寄り隣駅の近くで一人暮らしをしている。
家に着くと早速莉愛からメッセージが来ている。
莉愛「莉愛だよ!よろしくね!」
渚「よろしく!今日はありがとう!」
すぐに既読がつくだけで嬉しかった。
莉愛「明日は2限から?」
渚「そう!文学とってる」
莉愛「私も!左後ろの方に私たちいるからおいでよ」
渚「おっけー」
その後も雑談程度にLINEをして、気づいたら寝る時間だった。
5月になると、なんだかんだ最初に友達になった人たちは、サークルや部活、バイトで忙しく、話も合わなくなるのが現実だ。
彼らといると、つまらなかったわけじゃないけど居場所がないような気がしていた。
だから莉愛が授業を一緒に受けようと誘ってくれたのは本当に嬉しかった。
でも冷静になって考えると、あんな陽キャたちと長続きするのか?という問いが頭を巡る。
すぐつまらないって捨てられるんじゃないのか?
でもまずは人を信じないとね。
しかし、寝る前にLINEを確認するとグループに招待されていた。
俺を含めて6人。メンバーは莉愛たち。
正直眠気が吹き飛ぶほど嬉しかった。
彼らに認められたって感じがしたから。
もちろん不安の方が大きいけど、これからが楽しみ。
満里奈の家にて。
?「満里奈」
満里奈「ん?」
私はとあるマンションで、女性と一緒に暮らしている。
?「今日一緒にいた小さい子誰?」
満里奈「ああ、渚って子だよ?」
なんで彼女が渚のことが気になっているんだけになろうか?
?「・・・そう」
満里奈「うん」
?「あんな子好きになってないよね?」
満里奈「はあ?今日会ったばっかだよ?あと悪口言わないで」
彼女は本当におせっかいで、いつも私の邪魔をしてくるように感じる。特に恋愛においては。
?「・・・」
次の日は2限から学校へ行く。
満里奈「あ、渚?」
渚「おはよ」
駅から学校へ行く道で満里奈に会う。
やはりおしゃれな格好をしているなあ。
満里奈「一緒に授業受けるって聞いてるよ」
渚「うん。よろしくね」
こうして見ると、満里奈は大きい。・・・色々と。
話してるとその大きな目に吸い込まれそうになる。
それほど不思議な魅力のある女性だ。
たまに俺のことを見つめていた気がしたけど、多分自意識過剰だったよな?
授業の教室につき、着席すると満里奈が隣に座る。
正直心臓がバクバクする。
満里奈「莉愛のこと気になる?」
渚「え?」
まさかの質問に少し眠かった俺の目は覚めた。
満里奈「どうかなって気になってさ」
渚「うーん、昨日会ったばっかだし、まだわからないかな」
正直言って彼女のことを理解できたわけでもないし、俺なんかが気になっていい相手じゃないのは分かっている。
満里奈「そう・・・」
渚「でもみんな綺麗だよね。もちろん満里奈も」」
満里奈「ありがと!」
素敵な笑顔だなあ。惚れるなって方が無理だよこれは。
授業が始まり、10分経って大と和樹がやってくる。
莉愛「遅い!」
大「わりいわりい」
和樹「寝坊した」
眠そうに目を擦りながら2人が教室に入ってきた。
なんか陽キャって感じがするなあ。
渚「おはよ」
大「おはよ渚。俺らタバコ行くけど来るか?」
渚「俺吸ってないから」
2人とも20になってないよね!?
これって犯罪だよね?でも指摘したら嫌われるか・・・
莉愛「もう!渚を悪い方向に持ってかないでよ!」
和樹「タバコぐらいいいだろ?」
莉愛「本当どうしようもない!真似しないでよ?」
渚「あはは・・・」
こう言うのは気にしたら負けだよな。
俺も嫌われたいわけじゃないし、ここはツッコまずに静かにしておこうか。
満里奈「私タバコ吸ってる人無理かな」
莉愛「私も!くさいし。ね?渚」
渚「どうだろうね?」
俺は昔から人に嫌われないために、いつも質問に言葉を濁してしまう。
莉愛「絶対吸わない方がいいから!」
咲「私の彼氏吸ってる」
莉愛・満里奈「・・・」
咲「私も好きではないけどさ」
きまずい。こうなるのが嫌だったんだよね・・・
大と和樹は授業終了ギリギリで帰ってきた。
出席カードだけを提出し、授業はほぼ聞いていない。
変に真面目な俺は正直どうなのかと思ってしまう。
これを陽キャの特性とは言わないけど、やっぱり俺とは考え方も違うのかな?
莉愛「はあ・・・渚は真似しちゃダメだよ?」
渚「う、うん・・・」
俺もそのうち彼らに染まってしまうのかな?
それも楽しそうな気もしてきたな。
和樹「まあ渚もそのうち俺らみたいになるってw」
莉愛「もう・・・」
でも莉愛に嫌われるのは嫌だし、少し様子を見ようかな。
昼食を終え、俺らは担当教員の授業を受ける。
他の5人とは別の教室だ。
1.2年生はセミナー的な授業で、3.4年はゼミになる。
授業としては、グループワークが主で4人1組で活動する。
前に座っている男女はそこそこいい感じの関係のようだ。
いつもイチャイチャしている感じで、羨ましい。
隣に座っている子は小柄で、ツンツンしている女の子。名前は玲奈。
なんか俺のことを嫌っている気がしてならない。
前に課題のことでLINEを交換したけど、返事はいつもそっけない。
渚「じゃあそれぞれの担当の所をWordにまとめて、グループに送ってくれる?俺がまとめて先生に提出しておくよ」
「よろしくね」
渚(!)
外を見ると大と和樹が変顔をしてこちらをのぞいている。
先に授業を終えたのだろう。
渚「・・・ぷっ」
思わず吹き出してしまう。
「パシン」
満里奈と莉愛が2人の頭を軽く叩く。
玲奈「・・・」
渚「もうやめてよ!」
大「吹き出してたな」
なんか青春って感じがするなあ。昔からこんな友達が欲しかった。
和樹「ちゃんと授業に集中しろよ」
笑いながら俺のことをイジってくる。
莉愛「どの口が言ってんの!」
渚「・・・待っててくれたんだ」
俺は自分のことを待っててくれたことが嬉しくて少し感動してしまった。
大「早く授業行こうぜ」
笑顔を俺に向ける大。本当にいい友達を持った。
さっき変な風に思った俺を殴りたい。
莉愛「満里奈?」
満里奈「あ、先に行ってて」
玲奈と友達なのか、2人で何かを話していた。
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