第2話 最高の1日だった

2限はずっと2人のことを考えてた。

俺とは見合わない2人と仲良くなって大丈夫なのか。

馬鹿にされるんじゃないか。美人局つつもたせなんじゃないか。

不安がずっと頭によぎっていた。でも、少しだけ期待もしていた。

彼らと仲良くなれば、彼らに染まることができれば、きっと楽しい大学生活が待っているから。

そんな期待と不安で俺の頭はいっぱいになっていて、気づけば時間がどんどん過ぎていった。


莉愛「渚!お待たせ!」

渚「え・・・」

莉愛が待ち合わせ場所に来たと思ったら、他に男女4人組がいた。

1人はさっき話した大。その他に男子が1人、女子が2人。

俺を合わせて男女3人ずつの計6人だ。

大「この子が渚!」

莉愛「ねえ!私が紹介したいのに!」

顔をプクーっと膨らませながら怒る莉愛。可愛い。

大「はいはい」

大が少し呆れたように彼女をあしらう。


そして、みんなで食堂へ行き、一緒にお昼ご飯を食べる。

俺の心臓はバクバクで、馬鹿にされないか不安だった。

だって皆んなキラキラしていて俺には眩しいから。

莉愛「渚ボクシングやってるんだよ?」

大「プロになったらみんなで応援行こうぜ!」

俺は何も喋れなかったが、2人が場を盛り上げてくれる。

莉愛「筋肉とかどう?触っていい?」

渚「え・・・///」

モミモミと俺の腕を触ってくる。

女の子のボディータッチなんて俺はなれていないので、心拍数が一気に上がる。」

莉愛「え!?めっちゃ硬い!」


大「筋トレやってる?」

渚「少しはね」

大「俺も!気が合うな」

笑顔が格好いいなあ。俺はきっと硬い表情をしているだろう。

大「そういえばこの後何の授業とってる?」

渚「哲学だよ」

大「一緒じゃん」

莉愛「私たちと受けようよ」

嬉しいな誘ってくれるなんて。俺にとってつまらなかったあの授業も、きっとワクワクするものになるだろう。

莉愛「でも、あの授業つまんない」

大「莉愛はいっつも寝てるじゃん」

莉愛「うるさい」

彼らのやり取りを見ているだけで楽しい。




?「渚」

渚「ああ、和樹・・・だっけ?」

お昼を終えトイレに行くと、俺に話しかけてきた人がいた。

それは先ほどのグループにいた男の人。名前は和樹。

和樹「そう。よろしくね」

渚「大とは付き合い長いの?」

先ほども結構仲が良さそうに見えた。

なんだかこのグループのツッコミ役のように見えた。

和樹「いや?ガイダンスで隣だったからすぐ仲良くなったんだよね」

渚「へえ。ていうかみんなは何で仲良いの?」

和樹「他の奴らとは新歓で仲良くなったんだよね」

俺も行けばよかったなあ。でも彼らとこうして出会えたことは嬉しい。


和樹は俺と同じくバスケをやっていたらしく、すぐに仲良くなった。

顔立ちはイケメンで、バスケサークルに入っているらしい。

トイレから帰り、授業の席に着く途中にも何人かの女子から声をかけられていた。

大も和樹もすごく明るくてモテモテで羨ましい。

自分が引き立て役になってるんじゃないかって、2人を少し疑う気持ちを持ってしまうくらいに。

そんなことを考えているうちに、3限目が始まった。

俺の隣に座ったのは、さっきのグループの女の子の1人の満里奈。

ハーフのような顔立ちで美人。身長は170を超えているようなモデル体型。

胸も大きく綺麗な金髪で、男子からはモテるだろう。

満里奈「渚は彼女いるの?」

渚「まさか。モテないから」

満里奈「ふーん・・・」

こちらを見る顔は妖艶ようえんというか、美魔女みたいな大人の色気がある。


満里奈「渚?」

渚「え?何でもないよ」

思わず見入ってしまった。変思われなかっただろうか。

満里奈にはきっと人を惹きつける何かがあるんだろう。

渚「モデルとかやってる?」

満里奈「やってないよ?それって褒め言葉?」

彼女の視線に少しドキッとしてしまった。ほんの少しだけ怖いと思ってしまったよ。

渚「え?やってそうだなって」

満里奈「変な目で見られるの好きじゃないんだよね」

渚「そ、そっか」

怒らせてないよね?本当に彼らと話していると、いつ地雷を踏むか不安でしょうがない。

満里奈「渚は安全そうだよね」

安全!?それってディスりなんじゃ・・・




3時間目が終わり、今日の授業を終えた。

大「この後カフェでも行く?渚もどう?」

渚「良いの?」

彼らと会って初日で遊びに誘ってもらうなんて思わなかった。

ある程度は良い感じに振る舞えたってことかなあ?

大「おう。渚はもう俺らのグループの一員だしな」

・・・グループか。嬉しいなあ。

莉愛「何グループって?」

大「まあ細かいことは気にすんな」

渚「ありがと」

俺は心の底から彼らに感謝を伝えた。

莉愛「これからよろしくね!渚!」


カフェに着くと、みんな慣れた風に注文をする。

フラペチーノとかラテとか聞いたことあるけど、よく分かんない。

俺は普通のアイスコーヒーにした。

?「ブラック飲めるんだ」

この子の名前は咲。小柄で童顔の女の子。年上の彼氏がいるらしい。

渚「うん。高校の部活で朝練があったから、コーヒーはよく飲んでたんだ。眠気覚ましに」

咲「大人だなあ」

少しクールでなんだかカッコよく思える。

大「他人に興味ないのに珍しいな」

咲「うっさい」

俺もこんな風に互いをいじりあえる関係になりたいな。


満里奈「いただきまーす」

満里奈はでかいパンケーキを頼んだ。

莉愛「甘いもの好きなのによく太らないね」

満里奈「最近ジム行き始めたんだ。だから大丈夫」

彼女はスタイルも良くて、おへそも見える服を着ているけど、キュッとしまったくびれが目立つ。

大「彼氏つくんないの?」

満里奈「良い人がいればね」

彼女と付き合える人なんて本当に幸せ者だろうな。

咲「先輩に言い寄られてなかった?サークルの」

満里奈「そんな人いたね」

やっぱモテるよなあ。


カフェで数十分談笑した後、駅へと帰る。

大「今日は楽しかったわ」

渚「うん。俺もだよ」

今までで一番楽しかった1日かもしれない。

本当に幸せだった。これからもそうでありたい。

莉愛「これからよろしくね!」

和樹「じゃあまた明日会おうね」

明日から、またみんなと仲良くできたらいいな。

正直不安だけど、期待に胸を膨らませながら帰宅した。

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