第10話 帰りたい
ダンブルから、あなたは神だの、国を救ってくれだの、よくわからない話を聞かされている。
レオは、早く帰りたかった。
しかし、子供をさらうような危険な集団だ。無視して逆恨みされでもしたら、また村を襲ってくるかもしれない。
(早く帰りてえー!)
今、超絶美少女のバベルを、危険な集団から颯爽と救い出したところだ。イケメンマッチョの俺がだ。(※転生して得たレオの顔は客観的にみても本当に整っている)確実に惚れただろう。こうなったら、この後待っているのは、いちゃいちゃラブコメ展開だ。
前世で30歳だった頃、俺は10歳の女児に興味はなかった。しかし、この世界で10歳の体になってみると、不思議と同年代の女子に魅力を感じてしまっている。いや、違うか。たとえ前世でもこの子が目の前に現れたなら一瞬で心を奪われるだろう。年齢の問題じゃない。あまりにもかわいすぎる。
銀髪サラサラショートは肩に掛かる程度、きれいで大きい赤色の瞳には吸い込まれてしまいそうだ。プリンとした薄ピンクの唇は、白くて美しい肌をよりいっそう引き立てている。さすがに10歳なので、いろいろなところは小振りだが、彼女が今後、どんな成長をしても、とんでもない美女になることが確信できる。
(帰ったら告白される?告白なんて前世でもされたことないぞ!どうやって答えればいいんだ!)
レオは早く帰りたい。しかし、無視もできない。
残された道は、この集団を全滅させるか、この男の頼みを聞き入れるかだ。
危険な集団だ。全滅させるのが世のため人のためになるのだろう。しかし、レオは早く帰りたかった。
頼みを聞けばすぐに帰れる。レオは口を開いた。
「なるほど、よくわかったよ。俺は具体的になにをすればいいんだ?」
「ありがたきお言葉!我々の願いは、選挙にでていただくこと、そしてこの国を統治していただくことです。」
レオはどんな頼みであっても、前向きに検討するつもりで質問したつもりだ。しかしそればっかりは聞けない。
「それは無理だ。俺は10歳だからな。まだ被選挙権はないんだ。」
この国の被選挙権は20歳からだ。少なくともあと十年、彼らの願いは叶わない。
しかし、これを聞いたダンブルの顔は、パアッと輝いた。
「なんと!10歳にしてこの体!この魔力!やはりあなたは人を超越している!この国を統治するべきだ!ええ!わかりました!わかりましたとも!10年!いや20年でも待ちましょう!あなたという希望があれば、我々はこの腐った国も生きていけましょう!」
「お、おう・・・。」
突然あがるダンブルのテンションに、レオは引いた。
「それまで我々を、あなたにお仕えさせていただけませんか?必ずお役に立って見せます。」
なんだか面倒なことになってきたな。とレオは少し後悔したが、やはりリスクを考えると無視できない。
「ああ、わかったよ。好きにするといいさ。
でも村には住むなよ。俺は村にすむけど。」
「ええ、もちろんですとも!ご迷惑はかけません!必要なときだけお呼びください!」
ダンブルは手のひらを上に向け、レオの前に出す。
突然、手のひらの上に金属製のホイッスルが出現した。
「こちらのホイッスルでお呼びいただいたときだけ、我々が馳せ参じます!」
突然のことに驚いたが、レオは思い出す。
(そういえば、さっきおそってきたやつらも木の枝を鉄の剣に変えていたな、この男もさっき錬金術がどうのって・・・)
「おまえら、金属、つくれるのか?」
「え、ええ、まあ、錬金術師ですので。」
レオは目を輝かせた。
「ダンベル、作ってくれよ!」
突然テンションがあがるレオに今度はダンベルが少しだけ、引いた。
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