残るものは苦しみだけ
夕凪あゆ
第1話
もう限界なんて、何度も越えた。
それでも私は平気なフリをして笑って、取り繕って。
そんな生き方をしてたせいかな。
ある日心の底が焼け落ちて、底のない暗闇になった。
いつかの声が、頭の中で何度も響いて。
「大丈夫」なんて言葉、もう聞きたくないよ?
何が大丈夫なのか、何がおかしかったのか。
それを言えないなら、責任がとれないなら、
口を閉ざして黙っていて。
でも私はもう、黙ってなんかいられない。
息が苦しい。胸が痛い。
怒りにまかせて壊れたい。
叫びたい、砕けたい、消えたい。
ねえ貴方、私を消してくれないか?
貴方が殺してくれさえすれば、
私はまたきれいに生まれ変われる。
まあどうせ、そんな願いは叶わないけど、。
未だに心は壊れたままで、それでもまだ動いている。
何もかもにぶつかって、血が滲んでも、
まだ痛いって感じられる。
それが悔しい。
痛いって思う自分が、まだ生きてる証拠で。
それがもう本当に嫌で、
たまらなくて、泣き叫びたくなる。
とっくに涙は枯れたけれど。
誰もいないのに、
誰かの名前を呼んでる
声が枯れて、世界がひび割れて、
砕け散った気がした。
——そして、静かになるんだ。
音が全部、消えて。
何も聞こえない。
心臓の鼓動さえ、遠くなっていく。
焦げた空気の中で、
私はただ、息を吐いた。
でも本当は、何も壊れてなどいなかった。
狂っているのは、私だけ。
世界は何も変わらない。
明日起きたら、明るく空を太陽が照らしてるだろう。
カーテンが揺れて、光が差す。
その光が、やけに冷たそうに思えて。
触れたら崩れそうで。まるでガラスのようだ。
叫んで、壊れて。
その後に残るのは所詮虚無感だけ。
あと痛み。
私はそのどちらも要らない。
感情がいらない。
ねえ貴方、私を殺してくれないか?
残るものは苦しみだけ 夕凪あゆ @Ayu1030
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