悪を裁くには、より強い悪の力を使わねばならない――。
そんな彼の「正義」に、未熟さや危うさといったものを感じます。
正義というにはいささか短絡的で粗暴、言ってしまえばやりすぎ。
いつかその短絡的な部分が、大きな失敗を呼び寄せそうだと感じてしまいます。
そんな彼の幼さを覆い隠すのが、凹凸のない黒いエナメル質の仮面。
つるんとしていて異様な雰囲気が漂うそれは、その下にあるものを完全に隠し、代わりに得体のしれない恐怖を漂わせます。
そして、それは彼を純粋なる暴の力を司る化身へと変貌させます。
ただし、良くも悪くも、それは力として純粋過ぎました。
力は使う者の意志によって、良きものにも悪きものにもなるのです。
意志なき力は、時に悲劇を生むことでしょう。
自身の信念を改めて見つめ直した時……彼は力を正しく振るえるようになるのでしょうか。
彼の仮面は、その答えを語りません。
ただ凹凸もなく、つるんとしているだけです。
信念というものの在り方を問う、なかなかに挑戦的な作品でした。