第12話 ムテムテの木 サードシーズン

 栃の実の餅をじいさまに作って、と。

 頼むとだ。

 殺すぞ!って言われる。

 幼きムテキングは。

 憤慨しておった。

 激怒しておった。

 餅食いてえって言っただけで。

 恫喝。

 栃餅食べたいって言っただけで。

 脅迫。

 

 幼きムテキング。

 家出を敢行じゃった。

 医者を呼びにではなく。

 逃げるために。

 でも雪を裸足で走るのは痛い。

 血は流れ。

 感覚はない。

 霜焼けとかじゃなく。

 凍傷。

 普通にピンチ。

 幼きムテキング。

 家出を中断し。

 帰宅じゃ。

 しかし引き戸は堅く閉じたまま。

 冬の夜。

 モチモチの木は輝く。

 星空でじゃねえぞ?

 ブリザードでだ。

 だって気温マイナス45℃。

 ムテキング暮らす地域にだけ。

 ブリザード来おった。


 じいさまじいさま。

 開けてください。

 ムテキングです。

 外はブリザードです。

 冷たく輝く息なのです。

 ドラゴンローブもないし。

 女神の盾もないです。

 直撃です。

 開けてください。

 じいさまじいさま。


 そう言われたじいさまは。


 そのまま死ね!


 !?

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