第9話 ムテキングと癖強タクシー

 ムテキング松木。

 タクシーで帰宅。

 急な積雪で交通機関麻痺しちゃったから。

 ヘイ、タクシー!

 と、手を上げて待っていたら。

 ギョギャギャギャギャ!!

 と、スキール音を鳴らしながら。

 ドリフト気味に停まってくれた。


 「アッシを呼んだかい?タクシー運転手のタケシーだよ?」


 ぶん殴ろうかなと思ったが。

 他にタクシーもおらず。

 仕方なく、タケシーのタクシーに乗車。

 どちらまでと言われたので。

 あ、自宅までお願いしますと言ったら。


 「タケシー嬉しー。タケシー嬉しー。喜んでえ喜んでえ、トゥルっトゥルトゥトゥー」


 と。

 謎の呪文を唱えられた。

 いざ運行が始まると。

 物凄えスピード。

 幻の6速を求めてんのかってぐらい。

 積雪だってのに。

 スピードの向こう側を目指して。

 いや、運転手さん。

 安全運転でお願いします。

 と。

 ムテキング、頼んだのだが。


 「あぁん?タケシーのタクシーに意見あんのかい?そういうときは会社の窓口に言ってくれな!運転手さんに直接言わないで?傷ついちゃうから。タケシー、繊細。タケシー、デリケート」


 ドアを無理やり開けて脱出しようと。

 ムテキング、ガチャガチャしたのだが。

 開かない。

 なにか強い力で封じられておる。

 ならば破壊しようと。

 ムテキング。

 丹田に力を溜めてゼロインチを放った。

 しかし、ドアは無傷。

 運転手さんは凶悪に嗤う。


 「やだねえ。お客さん。タケシーのタクシー、強化してっから。内装全部がカーボンナノチューブ繊維だから。軌道エレベーターに使われる前にタケシーのタクシーに採用さ。貴様なんぞに破壊出来るものか!弱き人の子よ!」


 と。

 ラスボスみてえな事を言われたので。

 ムテキング松木。

 気を練って拳に集中。

 マジパンチをドアに放った。

 ドガシャア!

 と。

 内側から爆発したかのような衝撃。


 松木流空手・虎砲。

 コマンド →⇒▲ホールド。


 運転手さんは驚愕だった。

 そんな馬鹿なと。

 カーボンナノチューブなのにと。


 「な、なにぃ?ドアの内装一筋40年。車検整備もお電話一本で有名なマサシーのカーボンナノチューブ繊維を破壊しただとぅ!?」


 タケシーのタクシーの内装。

 マサシー製。

 ムテキングはもう一発虎砲。

 

 「や、やめろ!ドアの内装一筋40年。急な事故対応もお時間問わずお電話一本で有名なマサシーのカーボンナノチューブ繊維を壊すな!」


 マサシー。

 良心的なお店だった。

 ムテキングは破壊する。

 タケシーのタクシーを。

 マサシーのタクシーを。  

 

 

 

 

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