怖いお話(怖い…か?)

霜月 識

なかよし

私は、娘の妊娠の報告とともにこの団地に引っ越してきた 。

娘が産まれてからはその団地の中ら辺にある公園で一緒に遊んでいる。娘もその公園が好きだから、いつも、「行こー!」と元気いっぱいに催促してくる。

遊んでいる時、娘は時々公園の1番奥の木を見ながら指を指し、「なかよしー」と言う。その木の周りには猫がたくさんのんびりしていたため、私は「なかよしだねぇ」と、特に気にも留めていなかった。

しかし、娘はその公園に行く度、毎回と言っていいほど木の方に指を指し「なかよし」と言うのだ。

いつも猫がいるはずでもないし、「なかよしの猫は?」という意味で捉えていたが、少し不思議に思っていた。

その数日後、お隣さんから話しかけられた。

「大丈夫?」

「なんでですか?」

「あの公園に毎日通ってるからよ」

どういうことかと話を聞くと

「あの公園、この団地が出来るまでは周りになんも無くて、薄暗いから誰も寄り付かなかったのよ。塀も高くて外からも見づらかったし。今はもうないけど。それで、この団地ができる何年か前、あそこの公園で、女子高生への乱暴殺害事件が起きたのよ」

私は少しドキリとした。

考えていないわけではなかった。

ただ、私には見えないから…

「そこで、3人の女子高生が亡くなったものだから、新しく入ってきた人以外の昔からこの周りに住んでいる人はあそこは寄り付かないのよ」


翌日、娘が行きたいというため、恐る恐る一緒についていった。

すると娘はいつも通り、に目を向け「なかよし」と言ったのだ。

隣の人が行っていた。

その子たちが亡くなっていた所は、1番奥の木の隅の下だと。

「ねぇ…、何がいるの?」

私は恐る恐る聞いた。

娘は

「おねぇちゃんたち」

と言い、笑った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

怖いお話(怖い…か?) 霜月 識 @shki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ