記憶喪失の僕、隠してた力を使います。
@kaki43
第1話 記憶喪失
目を覚ますと知らない場所に居た。
(ここは何処だ?)
そんな事を考えながら辺りを見渡した。ゴミが一つもない綺麗な部屋、机の上には何も無くて、本棚があり本棚には難しい本が沢山置いていた。
(だめだ思い出せない、昨日は確か…)
昨日の事を思い出そうとして、
(何も思い出せない)
この場所も、昨日の事も、そして自分の事も。
思い出そうとしようとするが、何も思い出せず、焦って、心臓の鼓動がどんどん速くなっていき、呼吸も荒れてきた。
(取り敢えず落ち着こう)
そう思い、深呼吸をして落ち着こうとした。深呼吸を何回かすると少しずつ落ち着いてきて、心臓もだんだん元に戻ってきた。
(取り敢えず何か手がかりがないか探そう。)
そうして部屋の中を探したが何も見つからなかった。
(これからどうすればいいんだ)
そんな事を考えていると、
『ピンポーン』
とチャイムが鳴った。
(誰だ?)
まさか僕をここに閉じ込めた犯人か?いや犯人だったら鍵を開けて入ってくるはずた。もしかしたら僕の記憶が戻る手がかりが手に入るかもしれない。
僕は玄関に行きドアスコープを覗いた。ドアスコープの先にはおよそ17歳くらいの、身長は160センチくらいで紺色の髪をした少女が立っていた。
その少女は制服を着ていた。
(制服ということは学生か、見た感じ怪しい所は無い。)
僕は手がかりを得るためにドアを開けた。
「あっ、やっと出てきた、いつもより遅かったじゃない何かあったの深。」
「しん?、しんというのは僕のことか?」
「当たり前じゃない。何言ってるの?そんな事言ってないで速く学校に行こうよ。」
「学校?僕は学生なのか?」
「?、本当にどうしたの?、今日の深、何か変よ、いったいどうしたの?」
僕は少女に詰められ、今までの事を話す事にした。
「実は…」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「なるほどね。朝起きたら記憶がなくなっていたと。」
「ああ、何も思い出せないんだ」
「だから変な事聞いたり、一人称がおかしかったのね。それにしても私の事も忘れたっていうの?」
僕は少女を見るが何も思い出せない。
「ごめん、分からない。」
「はぁ、私の事も忘れるなんて。仕方ない、私が今までの事を教えて上げるわ。」
そうして彼女は色々な話をし始めた。正直半分いや、7割くらいは関係ないんじゃないかと思う
好きな犬の話や最近みた犬の動画の話だった。
そうして長かった犬トークが終わり本題に戻ってきた。
「まとめると、僕の名前は相良深、そして君は神宮寺咲という名前なんだね。」
「そう言う事。」
「でも犬の名前とかが分かるって事は、なくなったのは記憶だけで知識はなくなってないんじゃない?」
(確かに。自分がどういう人間だったかは思い出せないが、固有名詞などは覚えている)
「なるほど、だから犬の話をしたのか。僕が固有名詞を覚えているか確かめるために」
「いや、ただ犬の話がしたかったからだよ」
「…、まあでもこれで確かめる事ができたからいいや」
(でもなんで、記憶がなくなったんだろう。頭にダメージを受けたわけでもないのに記憶が、なくなるなんてあるのか?)
僕は考えた。そして一つの可能性に至った。
(もしかして能力者にやられたのか?)
能力者とは、数十年前、ある国で火を操れる人が現れた。
それから世界各地で、様々な能力を持った人が現れ、能力を持った人は能力者と呼ばれるようになった。能力者は最初、異質な存在として扱われたが、能力者が増えていったことで、異質な存在として扱われることはなくなり、現在はほとんどの人間が能力を持っている。
(もしかしたら、記憶を消す能力を持った人が僕の記憶を消したのかもしれない。)
そんな事を考えたが、可能性は低いだろうと思った。
(なんで、わざわざ僕の記憶を消すのかがわからないな。こんな学生の記憶を消すことに意味があるとは思えない。)
そうして振り出しに戻った。
「あの、色々考えてるとこ悪いんだけど、そろそろ学校に行かないと遅刻するよ。」
彼女はスマホの画面を見せてきた。その画面には8時12分と示されていた。
(学校か、もしかしたらいつも通りの生活を送っていれば何か思い出せるかもしれない。)
そんな事を考え僕は学校に行くことにした。
そして歩くこと20分僕達は学校に着いた。そして学校に向かう途中に咲から僕のクラスは3-4と言う事を教えてもらった。ちなみに咲は3-3らしい。
(ここか)
僕は3-4と書かれた教室に来ていた。
「じゃあ、また後でね」
と言う咲と別れて僕はそのドアを開けた。
至ってなんの変哲のない教室だ。そんな事を思いながら僕は自分の席を探した。そして一つだけだれも座っていない席を見つけて、僕はそこが自分の席だと思いながら座った。すると周りがざわめきだした。
(いったいなんなんだ?)
と思っていると教室のドアが思いっきりあき、がたいがよく、背の高い無愛想な顔した少年が入ってきた。その少年は真っすぐ僕の席まで来て
「おい、雑魚お前なんで俺の席に座ってるんだよ。」
と言いながら僕はその少年に思いっきり殴られた。僕は咄嗟のことに対応ができず、殴られた勢いで、教室の後ろにあるロッカーにぶつかった。
殴ってきた少年は僕の所まで来て
「お前の席は、そこにあるだろ。」
と地面を指差した。そこにはボロボロの机が床に倒されていた。僕は状況を理解した。
(なるほど、僕はこいつにいじめられてるのか)
僕は改めてその少年をみた。少年は僕をみてニタニタ笑っていた。
(面倒事は避けたいな)
そう思った僕は
「ごめん、何か勘違いしてたみたいだ。次から気を付けっ」
言い終わる前にまた殴られた。
「何が勘違いしてただぁ。何が次から気を付けるだぁ。お前馬鹿にしてんのか。能力も持っていない雑魚のくせに」
言い終わると彼は
「次はねぇからな」
と言いながら席に戻っていった。
僕は立ち上がると倒れていた、自分の席を元に戻して考えた。
(なんで僕は、いじめられているんだろう?)
そんな事ばっかを考えていると、気づけば昼食の時間になっていた。
「おい雑魚、弁当買ってこい。」
そんな事を彼(名前は山内というらしい)に言われた。
(断ったら面倒事になるな)
そんな事を考えてぼくは山内の弁当を買いに行くことになった。
購買で弁当を買い戻ろうとすると
「弁当2つも食べるの?」
と咲が話しかけてきた。
(咲に心配は掛けたくないな)
そう思った僕は、
「うん。いろんな事考えてたら、たくさんお腹空いちゃって」
と誤魔化すことにした。
そうして咲と会話をしながら教室に着き、咲と別れ教室に入ると
「おい、おせーよ」
と目の前に立っていた山内に持っていた弁当を2つ取られた。
「これは遅かった分な」
と言う山内に
「それは僕の弁当だ」
と言うすると山内は
「そっか、そんなに弁当が欲しいならくれてやるよ」
と弁当を頭にかけられた。
(まだだ、まだ落ち着け)
僕は怒りがこみ上げながら山内をみたがなんとかこらえようとした。
「なんだぁ、その目は」
そう言いながら山内は殴りかかってきた。
「雑魚の分際で、俺に敵意を向けてんじゃねぇよ。そんなんだからいじめられるんだよ。悔しかったら雑魚な自分を恨むんだなぁ」
そんな事を言う山内に
「なら僕が、お前と言う雑魚勝てば、僕をいじめなくなるのか?」
「あ?」
山内は僕の言葉に腹を立てたようだ。
「てめぇ、今なんていった?もう一回言ってみろやぁ」
「何度でも言ってやるよ。山内、放課後タイマンしようぜ、そこで雑魚なお前を倒してやるよ。」
そう言うと山内は
「くだなねぇそんな安い挑発のらねぇよ。お前が俺に勝てるわけないだろ。おれは忙しいんだ。」
そう言いながら立ち去ろうとする山内に
「逃げるのか、僕に勝てないから」
「あぁ?」
「お前、そんな事言って、僕に勝てないと分かっているから戦わないんだろう。勝てない勝負はしないで逃げようとする負け犬が。」
そう言うと山内は、
「いいぜ。その挑発乗ってやるよ。ただテメェが負けたらお前は一生おれのペットにしてやるよ」
「いいぜ、なら僕が勝ったらお前はこの学校を辞めろよ」
「いいぜ、場所はグラウンドな、待ってるぞ雑魚」
「そっちこそ逃げんなよ、負け犬」
そうして山内が居なくなり、僕は顔に付いた弁当を洗い流そうとトイレに行った。弁当の汚れを洗い流し終え教室に戻ろうとするとすでにタイマンの話が学校中に広まっていた。もちろんみんな山内が勝つだろうと話をしていた。さらに、賭けも行われていたが全部山内にベットされていて、賭けにならなかったようだ。そうして教室に戻り残りの授業を受け、放課後になった。
僕はグラウンド行こうとした。すると後ろから
「あなた、何考えてるの!」
と咲が言ってきた。
「あなたは記憶がないからわからないけど、あなたは能力なしで運動もできない、何にもできない無能って言われているのよ。そんなあなたが学校で1番強い竹内に勝てるわけないじゃない。彼はあの天秋学園から推薦も貰っているのよ」
「ならなおさら丁度いい」
天秋学園は実力がないものは、どんどん退学していく実力主義至上主義を体現している学園で、そこを卒業することが出来れば何でも願いが一つ叶うと言われている。
「僕はその学園に行こうと思っていたんだ。だからそこから推薦を貰っている山内を倒せばその学園に行けると思っているんだ。」
「もしかしてあなた、その学園を卒業して記憶を戻して貰おうとしてるの?」
「あぁそうだ。」
ずっと考えていた。どうやって記憶を戻そうか、そうして学園で卒業すればいいと思いついた。
「確かにそこを卒業出来れば、記憶は戻るかもしれないけど、あなたが山内に勝つなんて無理よ。」
「まぁみとけって。今から面白い物が見えるぞ」
そう言いながら僕はグラウンドに向かった。
「…分かったわ。でも無茶だけはしないでね。」
そう言う咲に僕は
「まかせとけ」
といった。
そしてグラウンドに着くと
「ちゃんと逃げずに来たんだなぁ」
山内がたっていた。グラウンドの周りにはこの戦いを見に来る観客がたくさんいるだろうと思ったがそんなに観客はいなかった。たぶん結果が分かっているから観る価値もないと言う事だろう。
僕はグラウンドの中に入った。そうして山内が
「じゃあ始めるかルールはこのグラウンドを出るの禁止以外は何でもしていい。そしてどっちかが気絶したら終わりだ。いいな?」
「あぁ」
「じゃあ始めようか」
そう言うと山内の周りにたくさんの火が出てきてそれが僕に向かって飛んできた。
いきなり来た攻撃に僕はびっくりしながらも何とか紙一重で回避をすることができた。
「へぇ今のを避けるのか」
「これがお前の能力か」
「そうだ。俺は火を操れる能力なのさ。何で俺が場所をグラウンドにしたか分かるか。この能力があれば遠い所からお前をいたぶる事ができるからさ。この能力でお前が気絶しないギリギリまでいたぶって二度とこんな事できないようにしてやるよ。そして俺は天秋学園に行くんだ。そしたらお前も連れてってやるよ、俺のペットとしてな。」
そう言うと山内はまた火を飛ばしてきた。僕はそんな山内に向かって
「僕もグラウンドにしてくれて助かったんだ。」
「あ?何いってんだおまえ」
そんな事を言う山内に僕は本気を出した。一瞬で山内の目の前までいき、山内を殴った。山内は何が起こっているのか理解できずに倒れ込んだ。これを見ていた観客はこの出来事にあっけにとられて目を見張っていた。
僕はずっと考えていたんだ。なんで僕が雑魚とされて居るのか。僕にはこんな力があるのに何故なのか。そして僕は答えにたどり着いた。
(僕はこの力を隠していて使わなかったんだと。)
何でこんな力を持っているのか、そしてなんでそれを隠していたのか、一体記憶を失う前の僕は何を考えていたんだろう。
(必ず思い出してやる。そのために僕は天秋学園を卒業してやる。)
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