裏切った理由

教祖「誰が私のことを裏切ったんだ？」

公安「…… 桐渓（きりたに）だ」

教祖「桐渓（きりたに）！？　あの子は10年もこの宗教を信仰していたんだぞ？　……公安はそこまで長い期間潜入するものなのか」

公安「いや、あいつはただの協力者だ。公安のスパイではない」

教祖「じゃあ金で釣ったか、脅して仲間に引き入れたんだな」

公安「いや、金は払っていないし、あいつに家族や友人なんていない」

教祖「は？」

公安「そもそも、あいつは宗教なんて信じていない」

教祖「そんなわけないだろう。DVされて心が弱ってる隙を狙ってつけ込んだんだ。それ以来、集会には毎回参加していたし、献金もちゃんとしていたんだぞ」

公安「……あれはあいつの嘘だ。彼氏をわざと煽って殴らせたと言っていた」

教祖「何のためにこんなことをする必要がある？」

公安「スパイに憧れているから。でも頭が悪くてダメだったから、それならスパイじゃなくて協力者になろうと思ったと言っていたな」

教祖「意味がわからない」

公安「ああ、正直俺もだ。でもあいつのおかげでお前らのテロを防げたからそこには目を瞑ろうと思う」