地果て海尽きるまで
脳病院 転職斎
第1話
昔の人は、地球が丸いとか知らないので、地平線や海の向こうは滝になってると思っていた。
モンゴル帝国を築いたモンゴル人達は、東は朝鮮から西はポーランドまで、地平線の果てまで領地を拡げていった。
人が向こう側を見たいのは、もしかしたら生まれつきの本能かもしれない。
思えばアジア大陸を放浪してたハタチの頃、韓国人やタイ人のように、徴兵されることで民族や国家を守る使命感を持つ人達が不思議でたまらなかった。
沖縄の人や九州の人のように、郷土に誇りを持って生きていくと言う気持ちも、山口県人の俺には理解できなかった。
俺はただ、何にも縛られることなく、見たことの無い全ての景色が見たいし、訪れたところ住んだところを全部故郷だと思ってるだけ。自分の帰属すべきものがなんなのか分からない。生きてる限り桃源郷を追い続けていたい。
そうしたら、今の俺にとっての九州みたいに、放浪の果てに辿り着いたところが自分のアイディンティティとなる。
今では結婚して子供も居るからこれは憶測に過ぎないが、俺が世捨て人として生きていたら、多分北海道の大自然で牧場を開いてる。
住めば都とはよく言ったもので、日本に収まりきらなくて海外に移住してみたら案外桃源郷になるかもしれないし、出来ないことかもしれないけど夢を追いかけ続けて生きていたい。
住むところは熊本で満足してるけど、いつか自営業が成功したら、嫁と娘と日本一周・世界一周してみせる。
もし億万長者になったら、エベレスト山頂、マリアナ海溝最深部、宇宙、どこまでも行ってやる。
ガンジス川やアマゾン川も、始めから終わりまで見てみたいし、夢を想像するのは自由だから、どうせ死ぬまでの暇潰しなら、持てる全てを使って色んな向こう側を見て死にたい。
地果て海尽きるまで 脳病院 転職斎 @wataruze
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