第12話 つけられて
家に向かって歩く途中、エリザベートが小声で千夜子に話しかける。
「のう、気づいておるか千夜子」
「どうしたの?」
千夜子もつられて小声。
「さっきから、後をつけられておる」
「え!? 猫とかカラスじゃなくて」
「いや、人間じゃ。おっと、振り向くな千夜子。気づいていないふりをするのじゃ」
「ごめんごめん」
「このまま家に帰ると住処がバレる。行き先を変えるのじゃ」
エリザベートは曲がる予定ではなかった道を曲がる。
「すまぬ千夜子。我も荷物を持つ」
千夜子の両手はドラッグストアで購入した品々の入った袋でふさがっていた。
「大丈夫だよ、かさばるけど軽いものばっかりだし」
「そうかすまないのう」
「で、これからどうするの?」
「人気のないところでこちらから仕掛けるのじゃ。どこか良い場所はないかのう」
「それならもう少し先にある公園がいいよ。このあたり単身者ばかりだから、人全然いなくてね。木も多いし」
エリザベートは静かにうなずく。
「ささっ、ささささ」
そんな二人をじっと見つめながら、後を追う影。
「さささささ……逃がしませんよ、悪魔め」
その人物の……電柱の後や曲がり角に隠れながらの移動はけっこう目立つようで、通りすがりの人にジロジロと見られていた。
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