第11話 はじめての輸入品
ドラッグストアにつくと、エリザベートがキラキラと目を輝かせた。
「や、安いのじゃ」
「魔界だともっと高いの?」
「うむ。輸入品だからのう。たとえばこの二百二十円の歯ブラシは魔界では六百円くらいするのじゃ」
「ちょっと待って、魔界も円なの?」
千夜子は思わず尋ねる。
「うむ。そもそも魔界にはお金という価値観はなかったからのう、いわば貨幣制度が最初の輸入品じゃ」
「そっかぁ。それまではどうやってたのかな?」
「我が生まれるずっと前の話じゃが、基準は力だったそうじゃ。魔界が今比較的平和なのは日本のおかげじゃな」
そう語るエリザベートの視線は、ドラッグストアにずらりと並ぶありとあらゆる品々に向けられていた。
「さっきの歯ブラシ買う?」
「よ、よいのか!?」
可愛いうさぎのイラストが描かれた、子ども用歯ブラシ。
「必要なものだからいいよ、他にもいろいろ買おう」
「あ、ありがとうなのじゃ! え! カップ焼きそばが百二十円!?」
「よし、それも買っちゃおう」
ドラッグストアの滞在時間、約三十分。なんだかんだと買いすぎた二人は、荷物を置くために一度帰宅することとなった。
そんな二人の様子を、少し離れた物陰からじっと見つめる視線が…………。
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