第6話 ドライヤー
シャワーを浴び終え身体を拭いてもらったエリザベートはまず、下着を術式で綺麗にする。
「エリザベートちゃんの魔方陣は基本的に赤いんだね」
「うむ。これが我の色じゃ」
直径五十センチほどの魔方陣の上で下着がクルクル回っている様子はなかなかシュールである。
「シャツはこれでいいかな」
「ありがとうなのじゃ」
カワウソの描かれた白いTシャツを、千夜子は渡す。大人と子どもの体格差から、エリザベートが着るとワンピースのようになった。
「可愛い可愛い」
「し……下着も綺麗になったのじゃ」
恥ずかしがりながら、魔法陣を消し下着を穿くエリザベート。
「これからもパジャマは私のTシャツがいいねぇ」
「ゆったりして寝心地はよさそうじゃ」
「うんうん。じゃあ髪を乾かそうか」
「千夜子は乾かさなくていいのか?」
「エリザちゃんの髪乾かしてからやるから大丈夫だよ。その前に私も服を着なきゃね。誰かとシャワー浴びるなんて子どもの時以来だから、つい盛り上がって着るの忘れてたよ」
千夜子は器用にタオルで自身の髪をまとめると、パジャマに着替えた。
「千夜子は誰かとシャワー浴びるのは好きか?」
「うーん。エリザちゃんとなら、かな?」
「そ……そうか」
「熱かったら言ってね」
ドライヤーのケーブルをほどき、コンセントをつなぐ。暖かい風が、まるで春の訪れのように感じられた。
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