第3話 冷凍ピラフ
夕飯は冷凍食品のピラフを解凍した。大容量で、一袋で二人分はある。
「さきにお風呂入っちゃったほうがよかったかな?」
「我はご飯が先がよい」
「そっか。よかった。今日は自炊の準備してないから簡単に済ませちゃうけど、結構美味しいんだよこのピラフ」
「人間界の冷凍食品の凄さはよく知っておるのじゃ。母上が大量に輸入しておるからのう」
「なんだ、食べたことあるのかぁ。残念」
なんだかんだ馴染んでしまっている千夜子であった。
「いただきまーす。うむ、やはりうまい! この味、二ジレイ社のピラフじゃな!」
「正解! すごいねエリザちゃん」
千夜子は思う。こんなふうに誰かと食卓を囲むのはいつぶりだろうかと。
「ところでさ、エリザちゃん。魔界と人間界の関係がトップシークレットなら喋り方少し変えたほうがいいんじゃないかな。今の喋り方だとちょっと目立ち過ぎちゃう気がして……」
「だめじゃ。この語尾のじゃは
エリザベートは空中に指で『邪』と書いて見せる。
「もしかして、けっこう無理して語尾にじゃをつけてる?」
「そ、そんなこと……あるのじゃ」
「素直でよろしい。なら私も応援するよ、その喋り方」
エリザベートはまた顔を赤くして俯いた。その様子を見ながら食べるピラフは、今まで食べたピラフの中で一番美味しいと千夜子は感じた。
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