溶かすあなたと、溶かされるわたし

新田みやび

第1話 カーテンの裏で

午後。

教室の隅、カーテンの裏。

わたしの中に、彼女の指が入っていた。


「くっ、ふうっ」

「声、我慢してるんだね、かわいい」

足の付け根、お腹のすぐ下から、音が聞こえてくる。

ぐちゅ、ぐちゅ、と生々しい音。

鼻にまで届く、人間の、メスの匂い。


窓の外には、部活帰りらしい人たち。

向こうから見たら、気づかれるだろうか。


「大丈夫、気づかれないよ?」

笑いながら、囁いてくる。

同時に、指がさらに沈んでくる。


「まっ、まって」

「だめ、待たない」

声のトーンが少しだけ落ち、かわりに息が熱くなった気がした。


「ほんと、かわいいね」

そう囁かれた直後、耳の中に温かいものが。

すぐに、舌だとわかった。

「ひゃ、やめっ」

「ひゃめらい」

吐息と舌に、感覚が奪われていく。


下腹部と耳からの刺激で、視界がぼやけてくる。

自分がされてるのに、どこか他人事のように感じられた。


一瞬、舌が離れる。

「そろそろ、終わらせよっか」

その直後、指が一気に奥へと。


「んっ」

瞬間、視界が白く染められ、体が痙攣した。

背中を抱きかかえられ、意識が飛ぶ。

わたしはそのまま、快楽に堕ちていった。


しばらくたっただろうか。

といっても、具体的な時間はわからない。

太陽が少しだけ傾き、夕方になろうとしていた。

「目、覚めたね」

机から顔を上げると、彼女が目の前に。

「かわいかったよ」

そう言われて、顔が熱くなるのを感じてしまう。

「一緒に帰ろっか、もう遅いし」

そして、強引に手を引かれ、わたしたちは教室をあとにした。

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