聞き方より、聞く相手
環季 瞳
誰に聞くかという選択
聞く相手を間違えると、
答えは途端に色が変わる。
学生のころは、それが当たり前だった。
国語が分からなければ国語の先生へ、数学につまずけば数学の先生へ。
疑問があれば、科目ごとにきれいに仕分けられ、答えの居場所は明確だった。
大人になってからも、私は同じ感覚を抱き続けている。問いには相応しい聞き手がいると思うのだ。
夜の世界で長く働いていると、つい同じ場所に身を置く者へ昼の仕事のことまで尋ねてしまう。
だが返ってくるのは、夜の光の当たり方を知る者の視線であり、夜の価値観で紡がれた答えだ。
昼のことを知りたければ、昼を知る人に尋ねればいい。
又は、夜と昼の時間を兼任している人に。
「昼」の時間を持つ人に。
ぼんやりだが、そんなことを思い続けてきた。
だからこそ、いまこの考えを言葉にし、文字に置き換えられた自分に対し、わずかな前進を感じる。
思いとして胸の奥に沈めていたものが、少しずつ形にできるようになった。
問いの相手を選ぶ大切さを、こうして自分自身に確かめている。
聞き方より、聞く相手 環季 瞳 @tamaki_hitomi
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