第8話 キツネの末路
キツネが跳びかかって来た瞬間、ウサギは発条のように溜めていた後ろ足の力を開放した。
一度とびあがってしまうと、キツネは、空中では行動を制御できない。
ウサギがいた場所に着地するだけである。
キツネの着地点から身をかわしたウサギは、文字通り脱兎のごとく目的地へと駆け出した。
キツネが追うのを諦めてしまわないように、距離をあまり開けないように、キツネの動きに合わせてスピードを調整した。
距離が縮まるとキツネは増々興奮してものすごい形相で噛みつこうとしたが、得意の横っ跳びでキツネの邪悪な牙を回避する。
頭に血が上ったキツネはうなり声をあげて何度もウサギに襲い掛かろうとするが、巧みに攻撃をかわしながら、ウサギは目的地へとキツネをおびき寄せていった。
次第におとぎの国の動物仲良し村の境界が近づいてきたが興奮したキツネはそれに気が付かないようだった。
ウサギは思い切って境界線を飛び越えた。
ここからは人間の世界だった。
人間がイノシシを取るためのわなを仕掛けている場所へキツネを誘導した。
開いてた距離が縮むように足を引きずるように小さなジャンプを繰り返した。
最後の大ジャンプの意図をキツネに気付かせないためだ。
距離が縮んでキツネの荒い息が間近に聞こえる。
ウサギは罠の手前でいったん立ち止まってキツネが襲い掛かってくるタイミングを計った。
キツネがかみつこうとした瞬間、ウサギは得意の横っ飛びで危機を回避した。
獲物を逃したキツネは、勢い余ってに二、三歩たたらを踏んだ。
ガチィ、イノシシ用の罠がキツネの足に食い込んだ。
悲痛な鳴き声を上げる。
その声を聴いたウサギは、振り返ってキツネがもう追いかけてくることが出来ないと確信した。
キツネが暴れてが罠がガチャガチャ鳴ったが、痛みのためか、諦めたのかキツネは大人しく座り込んだ。
ウサギは、ゆっくりと近づいていったが、襲われないための距離は用心して取った。
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