現実逃避

男1「怖い。なんでお前がそこに座ってるんだよ」

男2「操縦出来る奴が他にいないからに決まってるだろ」

男1「なんで教習所で泣き言言ってた奴が飛行機なんか操縦出来るんだよ」

男2「……かっこいいから。ジョーカーゲーム見て、D機関みたいになりたいと思ったから。ちなみに、飛行機以外なら船の免許も持ってる」

男1「じゃあ、安心だな」

男2「いや、ギリギリ合格だった」

男1「は？　ちょっと待って。おいおい空港通り越したぞ。今どこに向かってるんだよ」

男2「山だよ。仮に、空港に行って着陸出来ずに他の飛行機に突っ込んでの乗客まで巻き込んだらどうするんだよ」

男1「諦めるな」

男2「諦めてない。でも俺の操縦技術で、この故障した飛行機をどうにか出来ると思うか？　肝心のパイロットはテロリストに殺されちまったし。空港に行けば、この乗客200人と合わせて他の飛行機の乗客が犠牲になるかもしれないけど、山に堕とせば200人しか死なない。これが最適解なんだ」

女「はーい、そこの2人。フライトシミュレターで飛行機事故ごっこはやめよっか。後ろに並んでる子ども達が怖がってるよ〜」

男2「……え」

男1「あーあ。お前のせいで客室乗務員の気が狂っちゃった。どうすんだよ、これ」