第14話前 レッツ尋問昼カツ丼!

「ここ何処…ってかなんで手錠ッスか?」

黄間きはざまさんは状況が飲み込めてないようだ。


「説明するトゲ、君は昨日魔少連に身柄を拘束されてここで寝てたトゲ」


「あー…てことは自分、負けたんスね…」

少し悲しそうに黄間さんはそう言った


「持ってたステッキも破壊したトゲから君はもう怪人になれないトゲ。」

アーちんはしっかり追い討ちをかける。


「で、起きて早々悪いトゲけど、何で怪人になったトゲ?」

ちょっそれ聞くの私の仕事なのに


「…まあ喋っても良いか…、自分の動機は前に教えたっスよね?全力の勝負がしたかったんス。汐路逢浜こっち来てから部活の競走に張合いが無かったんスよ。」


その背景は初耳だけど、大体トゥナー戦の時に聞いた事だ。


「そしたら小さいマグロみたいな魔物、本名なんだっけな…まあドグちゃんってのにスカウトされて怪人になったんスよ。」


「向こうも妖精みたいな事やってるんだね。」


「それでなんかワープゲート的な?奴で場所わかんないんスけど怪人連支部に行って、魔法の使い方とか怪人演技指導とか業務内容とか色々教えてもらったッス」


「ねえアーちん、なんか私より歓迎が手厚くない?」


「…不思議トゲねえ。トゲトゲトゲw」

良かったなんか朝からまともな事ばっか言うと思ったけどいつものアーちんだ。ちゃんと腹立つ。


「…あっそういえば怪人演技指導の時変な白い部屋だったッスね。あの後からステッキから頭に直接指令が来るようになったッス。妖精と話してる十代の女を探せ〜とか、その女の知人を攫って人質にしろ〜とか」


「脳に直接…」

結構エグい事してないか怪人連


「破壊した怪人ステッキに謎の機構があるのは確認済みトゲ。おそらくそれトゲね」


「…変ッス」

黄間さんの声色が少し変わった。



「…自分は別に人質とかどうでも良くて…正々堂々勝負できれば…そもそも魔法少女と戦う以外の悪事なんてやるつもりなくて…なんで?…あれ?なんで自分は…なんで人襲ったりなんか…あれ?」



「…黄間さん?」

様子がおかしい…見るからに動揺と怯えが見える


「……万田さん攫って…岩ヶ瀬さん殺そうとして…取り返しがつかない事して…自分…

何やってたんだ?」


声が震えていた。


「落ち着いて黄間さん。大丈夫、私も沙羅も無事だから。」


「おそらくトゲけど…ステッキの指令装置…無意識下での洗脳効果があったんじゃないトゲか?」


「洗脳…!?」


「…おかしいと思ってた事は一つあるトゲ。いくら勝負に飢えてると言ったって黄間さんは一般人、調査した素行も普通。魔法を持っても流石に1週間そこらで悪事に加担するのは考え難いトゲ。」


「…だから洗脳で気づかないうちに理性のブレーキを壊してた…って事?」

怪人連めっちゃヤバいことするじゃん。



「ごめんなさい…自分そんなつもりじゃ…ごめんなさい…」

怪人だった頃と別人なほど黄間さんは小さくなって震えている


「落ち着きなって。黄間さん」


「でも自分…」


「そういう洗脳だったって事ならさ、黄間さんが悪人じゃないって事でしょ?」


「そうなるトゲね」


「なら良かったじゃんか。もう元に戻れるって事なんだからさ」


「岩ヶ瀬さん…」


「全く超が付くお人好しトゲね」

アーちんは呆れている。


ぐぅるるる


その時シリアスムードをぶち壊す程物凄い大きさで、お腹が鳴る音がした。


「…すんません私っス」


「いや多分私も鳴った」


ゴタゴタしてて忘れてたけどそういえば朝からなんも食べてない。


「一回昼ごはんにするトゲ、何食べたいトゲ?」


「…カツ丼」


「…交渉はしてみるトゲ」

アーちんは苦い顔をした


_____________________

続く

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