第10話 いつになく真剣なバトル!!

「お久しぶりッスね、ディアデマ✴︎アクスちゃん。」


マグロの怪人少女、ブルフィン・トゥナーはそう言って狂気的な笑みを浮かべる。


「…なんかこないだより悪役が板に付いてるね」


「演技指導の賜物っスよ」


怪人連って演技指導とかあるんだ。


「正直言ってディアデマ✴︎アクスより才能あるトゲよ」


余計な事を喋るんじゃないよ。


「というか私が魔法少女って知ってたの?」


「怪人は魔法少女のシステムのコピーっス。魔法少女同士だと認識阻害は無効。当然怪人も見えちゃうんスよ。普段から妖精とベラベラ喋ってるのが悪いんスよ?」

ブルフィン・トゥナーは意気揚々と喋る。


「やっちまったトゲね、テヘペロトゲ」


反省の色が認識阻害されてんのか?こいつは


「何が目的…?」


「目的…?あー言ってなかったっスね。怪人は魔物が暴れてる間魔法少女の足止めするのが仕事なんスよ」


そう言う情報って喋って良いんだ。


「まあ、自分は全力で戦えればそう言うのどーでも良いんスけどね!どちらにしろアンタを倒せばこの街の魔法少女はいなくなるッス。」


「思ったよりちゃんと戦闘狂だこの人!」


「…あの戦法で行くトゲ」

アーちんが耳打ちする。やむを得ない。


「『針姫冠ニーディアラ!』」


無数の針が飛ぶ。突然の先制攻撃にトゥナーは面食らった様だが当然の様にそれをかわす。その隙に私は出現させた針を一本掴む。


「『偽装束アクトドレス』!」

私の姿が風景に消え、そのまま背後に回る


「!?…なるほど姿を消せるんスか。正々堂々じゃないッスねえw魔法少女のくせに」


姿を消しても激しく動けば音で察知されてしまう。私はジリジリと距離を詰める。



「_じゃあこっちもセコい手を使わせて貰うっスよ」

そう言ってトゥナーは指を鳴らす


ギィィアァァ…


近くの物陰から大型の魔物が飛び出す。その手には____


「ッ!?沙羅!!」

思わず叫んでしまう。魔物の腕に気絶した沙羅が抱えられていた。


「さっさと姿を現さなければ、って奴っスよ。友達?…ッスもんねぇ」

トゥナーは不敵に笑う。そういえばさっき沙羅の電話が不自然に切れていた。


「…わかった。」

距離をとって『偽装束アクトドレス』を解く。新戦法は失敗だ。


「聞き分けが良い子で助かるッスよ。あ!そうだ勝負のルールを言ってなかったっスよね!」


この人は戯れている。


「自分が勝ったらこの魔物を暴れさせて街を襲うっス。そんでディアデマちゃんが勝ったら人質は解放して魔物は大人しく退かせるッス。倒しても良いッスよ」


戦闘狂なおかげでちょっと条件がマシだ。


「ただし、逃げたり透明化したり私が冷めるような事を次やったら万田さんは握り潰される事になるッスよ」


トゥナーの表情が一変し冷ややかな目になる。

前言撤回だ。やっぱこの人怖い。


「…わかった。受けて立つよその勝負。」


そう言って私はC.Q.ホロスリアに変身し、正面に構える。


「来いよ!怪人!」


「ノッて来たっスねぇ!『加速アクセラ』!」

トゥナーは魔法を発動すると大鎌ステッキを投げ捨て、恐ろしい速度で一直線にこちらへ襲いかかる。


「轢き潰れろっス!!」


「_『鎧姫冠パラディアラ』!」


凄まじい衝突音と衝撃が走る。私とトゥナーは別々の方向に吹っ飛んだ。


やがて土埃が晴れる。


「痛ッてぇッスねぇ…何しやがったッスか」


「いや、正面から体当たりで同じ衝撃喰らうなら、硬い私の方が競り勝つかなって…」


トゥナーが武器を捨てるかは賭けだったが、これでブルフィン・トゥナーの速度スピードは封じた。


「とにかく耐久勝負といこうよ、マグロ怪人!」


「侮れないっスねえ…『全加速フルアクセラ』」

ブルフィン・トゥナーはお構いなしに先程よりも速くなる。


一方、

「いつになく真剣なバトルトゲ…」

通信機を片手にアーちんはそう呟いた。





_____________________

続く

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