第8話前 新・初見殺しだトゲ!!
放課後、夏の日差しの中で学祭の準備は着々と進んでいた。今日は模擬店の飾り作り。
「…なんか元気ないねガゼちゃん」
ダンボールを切りながら沙羅が心配そうに覗き込む
「え?ああ単なる夏バテだから大丈夫」
人が変身する魔物『怪人』とか色々ありすぎて最近普通に忙しいのが体にキているらしい。
「単なる夏バテはそんなに大丈夫じゃないよガゼちゃん。どうせ今日これだけだし帰って休みなよ〜」
「なんだ聖女か」
アーちんと会話しているせいで良い人の基準がバグって来ている気がする。
「過言だよ真鈴氏〜。私はこれでも不良なのだよ」
まあ実際沙羅はお人好しである。
「じゃあお言葉に甘えて今日は休むね」
「また明日」
「じゃね〜」
***
〜帰路〜
「当然特訓の時間トゲよ」
何処からともなくアーちんが現れる。そんな気はしていた
「ですよねー」
スパルタウニ野郎がよ
「新種の敵の出現は強さ関係なく警戒すべきトゲ。もしかしたら
「ごもっとも…」
戦いが絡んだ時だけアーちんは真っ当な事を言う。
「前回の勝因は『
「まあ…そうなるよね。次どうしようか。」
「初見殺し対策の対抗策は昔から明確トゲ。」
「何?」
「無論新しい初見殺しトゲ」
「納得の答えだけどさ、前の戦いで私手札全部晒しちゃったよね。」
「手札トゲ?チッチッチッ」
(アーちんには指がないので「ちっちっ」のジェスチャーが出来ない。故に口で言っている)
「ナンセンストゲよ真鈴ちゃん。無い手札は増やすのみトゲ。」
そう言って何処からともなくそれを取り出した。
「アーちん、もしかして新しい手札って」
「2個目の魔法のステッキトゲ。僕からのプレゼントトゲよ」
アーちんの手に収まっていたのは魔法のステッキ…これステッキかな?柄の長い釘バット…
「ナマコの魔法トゲ。技の工夫もあったトゲけど習得の時間を敵が待ってくれるとは限らないトゲ。だから手っ取り早くコレで手数を増やすトゲ。」
「まーた微妙なモチーフだよ」
ウニといいなんで棘皮動物ばっかりなんだよ。
「そういえばナマコって前使って私適正低いって言わなかった?」
「それはウニと比較しての話だトゲ。追加魔法で使う分には問題ないトゲ」
「ステッキって2個使って良いんだ」
「同時には一つの魔法しか使えなかったり、
「なるほど、クローゼスアップ!」
ウニの魔法少女に変身する。
「そんでえーと…クローゼス・オーバーラップ!」
この掛け声のセンスで良いのかはちょっとよく分からないけど。衣装が二度目の光に包まれ、やがてモヤが晴れるように光が消える。
「どう?」
「こうトゲ」
アーちんが姿見を出す。どう仕舞ってんだよ。
新しい姿は前回のパンクなスカートとマスクはそのまま。大きく変わったのは上が長袖ブラウスになった事、縞靴下の上にレッグカバー、パンクよりのゴスロリだ。あとはツインお団子のガンガゼウニがなくなりポニーテールの位置で普通のお団子、そこに簪が3本。あと耳飾り。
フォームチェンジって感じだ。
「相変わらず敵みたいな姿トゲね」
「アンタが渡した魔法でしょーが。」
まあもう慣れっこだ。
「それでこの魔法は何が出来るの?」
「いつになく乗り気トゲね」
「なんて言うか前回初めてギリギリ負けそうになって、考えたんだけどさ。この町の魔法少女って私だけじゃん?そりゃ負けても事務員さんとか後から来るだろうけど、それまでの間暴れてる魔物って止められないじゃんか。」
「そうトゲね、僕の魔法力じゃ限界があるトゲ」
「それで沙羅達が危ない目に遭うって考えたら…絶対に負けちゃいけない戦いだなってなっちゃってさ」
「真鈴ちゃん…君はもう立派な戦士トゲね」
「魔法少女って言ってよそこは」
「わかったトゲ!その覚悟と前回の反省に免じてナマコの魔法チュートリアルを執り行うトゲ!」
「それは免じずに毎回やって欲しいんだけどね!!」
夕焼けの街、
_____________________
続く
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