学祭準備編
第6話前 知らない人が馴れ馴れしいよ!!
相も変わらず夏の日差しは私達に猛威を振るっている。要するにクソ暑い。
私、
魔物が出始めたと言われた割には大した出現頻度でもなく、殆どがアーちんの地獄の特訓の日々だった(慣れたのは慣れたけど)。
たまに定期報告会で隣町の
***
一方で桶丸第三高校の生徒達は体育祭の準備に勤しんでいた。
「!?ガゼちゃんいつの間にそんな足速くなったの!?」
ストップウォッチを持った
「いや〜ちょっと最近走り込んでて」
「ああ食べ過ぎたのね…」
「ちがわい」
事実、数週間に及ぶアーちんの猛特訓の効果はひしひしと身体に現れていた。
「ガゼちゃん、このタイムだとアンカー任せられるかもよ?」
「えーでも流石に陸上部の人とかでしょーよ。
「あー転校生の子ね。嘘みたいな速さしてたもんね。」
_ちくり、と腕に刺激が走る。
「いてっ…ごめんちょっとトゲ刺さったみたい」
「え?大丈夫?
「平気だよ。ちょっと保健室に絆創膏もらいに行ってくるから」
そう言って運動場を後にして校舎裏に歩く。認識阻害魔法を解いたアーちんが姿を現す。
「海岸付近に魔物出現トゲ」
「それはわかるけど刺す必要あった?」
「スパイ映画みたいでカッコいいとふと思ったトゲ」
「思いつきで人を刺すんじゃねえ。…クローゼスアップ!」
なんか最近変身前に文句垂れてばかりな気がする。
***
……
…
「マジカルビーム(仮称)!!」
ギィィア
フジツボの魔物が灰と化していく。
「最近倒すのが早くなったトゲね。良い余裕っぷりだトゲ」
「キラキラアピール入れる余地も出てきたり?」
「問題は目撃者がほぼ居ない事トゲね」
「クソ田舎がよ」
そうやって悪態をついて変身を解こうとした時だった。
「おっかしいなここ集合の筈なのに…」
黒い服の少女(私もそうだけど)が砂浜を歩いてきた。
「あっ多分あの人だ!お〜い」
少女が手を振ってこっちに走ってくる。
「えっ誰?アーちん知り合い?」
「いや初見の魔法少女トゲ」
「良かった〜集合時刻なのに誰もいないんスから、それで今日の業務内容の確認なんスけど」
いや業務内容って何だよ。魔物の事だろうか。
「…こっちで片付けたから今日はあと報告だけトゲけど」
アーちんが応える。
「えっもしかして私遅刻っスか!?おかしいな時間通り合流してフジツボ先輩と戦う筈なのに…」
何か話が噛み合わない。あとなんか馴れ馴れしい。
「君、名前は?」
とりあえず聞いてみた。
少女は落ち着きなく喋り出す。
「確かにそうッスね、自分は今日から配属の怪人ブルフィン・トゥナーっス!えっと…怪人連の人っスよね!」
「えっ」
怪人。少女は確かにそう言った。
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つづく
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