第5話 なんて遊びのない魔法!!
待ちに待った放課後
さあ今日はパーッと買い食いして_
「今日は特訓トゲよ」
「えー」
「不服そうトゲね」
「魔物倒せてるんだから良くない?」
「負けるとは思ってないトゲよ別に」
「じゃあ何故に?」
「真鈴ちゃんの戦い方が上手くなれば戦闘中に余裕が生まれるトゲ。」
「余裕…がどうするの?」
「余裕があって初めて魔法少女は強さ以外の魅力を人に見せる事が出来るトゲ。つまり君がウニの魔法でキラキラの魔法少女になるには、もう少し強くなる必要があるんだトゲ」
「へぇー…なるほど確かに。そう言われるとちょっとやる気出てきたな。」
「という訳で変身するトゲ!」
ぶぉんッ
「うおッ危ねっ!…だからトゲ鉄球がついてる物を投げて渡すなって何度…まあいいやクローゼスアップ」
***
「で特訓て具体的に何するの?」
「まずは命中精度の向上トゲ、この線から『
「わかった『
的が動いて勝手に避けた。
「魔物は動かない的の方が少ないトゲ。はい十本中六本。やり直し」
「うおおおらああ」
****
「ふと思ったんだけどさ」
「なんだトゲ?」
「魔法ってステッキ依存なのに私が鍛える意味あるの?」
「確かに特訓で魔法の威力は上がらないトゲ。でもコントロールを良くすることは出来るトゲ」
「ほう」
「魔法力コントロールが良ければ同じ魔法でも強い戦い方が出来るトゲ。極まるとできるスキルもあるトゲ」
「スキルって?」
「例えばステッキを持ってなくても遠隔で魔法が使えたり、一部の人は変身してなくても魔法が使えるトゲ。例えばジェリィ◎メドゥーサは数十個くらい素手で発動できる魔法があるトゲ」
「あの人凄っ!…けど良いねそれ、私一回日常生活で魔法使ってみたかったんだ!」
「あ、でもウニの魔法は針飛ばして敵食べる魔法トゲ。多分戦闘以外で使う場面ないトゲ、」
「なんて遊びのない魔法」
また一つ夢が潰えた
***
ドドドドッ
的に針が当たるようになってきた。
「針!当たるようになったよ!」
「命中は合格トゲね。次はガードの技術トゲ。」
「んー地味」
「ウニの魔法が攻撃系の魔法ばかりなのもあるトゲけど、君は相手の攻撃を喰らいすぎトゲ、回避と防御を覚えるトゲ」
言われてみれば相手の攻撃を避けた試しがない。
「と言う訳でトゲね。『
「うわっ熱っ」
咄嗟に飛びのいて私は転んだ。
「避けるのに意識を割きすぎトゲね」
「アーちんって魔法使えんの?」
「余ったステッキの魔法トゲ『
「ぎゃーっ!てかウニの魔法に防御技無いって言われたじゃん!」
「魔法の応用で防御するんだトゲ」
「えっと『
飛んできた火球を針が打ち落とす
「ならこれはどうトゲ。『
そう言うと火炎放射器のように炎の光線が放たれる。
「光線は針では撃ち落とせないトゲよお!」
アーちんが悪役みたいな顔をしている
「じゃあ…『提灯(アリストテレス)』!」
途端腹の口が大きく開き火炎放射を残らず食べてしまった。
「熱っ…くないねこれ」
「『提灯(アリストテレス)』はマジでなんでも吸収するトゲからね。防御技として使うのに向いてるトゲ。しかし先刻の『
「え?そう?やったー何気に初めてアーちんに褒められた!」
「飲み込みの速さに免じて今日の走り込みは2kmでいいトゲ」
「前言撤回しよっかなぁ!魔法少女って走り込みとかあるの?」
「最終的に物を言うのは体力トゲ。これに着替えるトゲ」
黒いジャージを手渡される。
「え変身したまま走んの!?」
「変身状態で動くのに慣れないと意味ないトゲ。」
「そういうもんなのか…あれ…ねえアーちんこの服頭のトゲトゲに引っかかって脱げないんだけど。」
「あぁその服は後ろにファスナーついてるトゲから」
「あこれか」
「着替えたら早速走るトゲ。はいスタート!」
「準備体操とかないんだ!」
***
夕日の街を走り終えた私たちは変身を解いて自販機の前で話していた。
「真鈴ちゃん。初めての特訓を終えてどうだったトゲ?」
「え、いや普通にしんどいけど」
「それは結構な事トゲね」
アーちんはいつもの飄々とした調子だ。
私は自販機のジュースを飲み干して続ける。
「それと、私走ってる時にちょっと考えてさ、今日色々やってみて、私は自分の魔法の事全然知らないんだなって思って、衣装の脱ぎ方も知らなかったし。もっと
「…理解を深めるのも特訓の一つトゲ。今日はその第一歩トゲね。」
「珍しく素直に褒めてくれるじゃん」
夕日のせいか少しアーちんの顔が赤く見えた。
「…余計な事言うと食事制限も特訓に組み込むトゲよ」
「いやちょっとそれだけは勘弁して」
夕日に照らされた。長い影が2つ伸びていた。
_____________________
つづく
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