第4話 キラキラしてるのは名前だけかよ!
今日は月曜日。
週末にかけて色々ありすぎて正直全然休んだ気がしない。おまけに朝が弱い私にとって休日明けは天敵であった。
「元気ないトゲねえ」
認識阻害魔法をいい事に学校を歩いていてもアーちんはお構いなしに話しかけてくる。
「ええ元気ありませんとも、お陰様で」
余裕がないと口が悪くなるのは悪い癖だなとつくづく思う。
「だんだん言葉もウニの魔法少女らしくチクチクしてきたトゲねえ」
「えっそんな悪影響あったの?」
「冗談トゲ、君は素で口が悪いトゲ」
「ごめんて」
「とにかく気合い入れるトゲよ
とは言っても日中は魔物が出なければ仕事がないのも事実。
土曜日の手続き後に事務員さん(魔法少女ジェリィ◎メドゥーサ)から届いた連絡で大まかな魔法少女の役目を教わった。
役目その1はパトロール。昼間は私が学生である事情を加味して事務員さんとアーちんが今まで通りやってくれている。そもそも魔物は夜行性らしく夕方以降の出現が主らしいので私はそっちの手伝いがメインと言うわけだ。
役目その2、魔法の特訓。内容はシンプルに素振りらしい。私は部活あるから!で乗り切ろうとしたがPC部の幽霊部員という事が判明した途端否応なくスケジュールが組まれた。
薄々気づいてはいたが、なんと言うか魔法少女って全くキラキラしてない。なんならちょっと泥臭いまである。理想高すぎたのかなぁ…。
唯一キラキラしてる事と言えば
グオオオア!
中庭から大きなうなり声がした。
噂をすれば、だ
役目その3、魔物の討伐。なんか最近汐路逢浜でも出現する様になったらしい。岩ヶ瀬はただでさえ生徒数の少ない学校でひときわ
「さあこのステッキで変身するトゲ!」
アーちんは徐に魔法のステッキ(モーニングスター)を取り出すと
ぶおんっ
「えっ」
数キログラムのの鉄の塊が私の顔を掠めて壁に突き刺さった。
「危なっ!!あっッぶね!!え?投げた!!?今なんで投げたの!!?」
「?…魔法のステッキは投げて渡すものトゲよ?」
「トゲ鉄球着いてる物を人に向かって投げたら死んじゃうだろバカ!」
「いいからさっさと変身するトゲ。ごめんで済む問題じゃないトゲから後で謝罪の場を設けるトゲ。」
「クローゼスアップ(ブチギレ)!!!!」
グオオォォォ…
魔物が吠える
「オラァァァァァァア!!!」
ただし私の雄叫びの方気迫に満ちていた。
*****
「倒した…」
魔物が針山みたいになっていた。
ちょっと八つ当たり気味だったのもあってなんか前回よりボコボコにしてしまった。まさかこの魔法のステッキがちゃんと鈍器として使えるとは。周囲の若干引いている空気感がこちらに伝わって来る。気まずい。すっごい気まずい。
「えっと…あっマジカルビームで締めないといけないのか…あれ出ない」
そうだ魔物食べないと出ないんだ。
「なんか…ごめんねマジで『
むしゃむしゃ
半分くらい食べてもう半分を光線で焼き払う。
廊下で女子が泣き出している。なんか私が悪者みたい。まあ今のところ大声上げて魔物ボコボコにした人だもんな。しかもトゲと第二の口で
「折角人前で戦ったんだし名乗った方が良いトゲよ?敵と思われたままは良く無いトゲ」
どこからともなくアーちんが顔を出す。そういえば名乗ってない
「終わった後に言う?それ」
「出てきた時に名乗らないのが悪いトゲ」
「え〜…じゃあ…魔法少女☆ディアデマ✴︎アクス!!!」
…
「恐ろしいまでに静かトゲね」
そもそもうちの学校の人数はそんなに居なかった
「…帰っていい?」
校舎裏で変身を解いた。
*****
「じゃあ支部にはボクが報告しておくトゲから」
そう言うとアーちんはどこかに飛んで言った。
「あー大変だった…」
よくよく考えてみると私の戦闘スタイルじゃ魔物と戦っても大概血生臭い感じになるだけだな。となると私が魔法少女になってキラキラしてる所って…名前だけ?
「その名前もウニの魔法少女って肩書き付きトゲけどね」
なぜかアーちんが帰ってきていた。
「うわぁ!早く報告行けよ!」
「昨今は遠隔で連絡出来るトゲ。じゃあ僕は放課後までに特訓の資料取ってくるトゲから」
そう言ってまた何処かに飛んで行った。
まったく朝から騒がしい1日だ。
「…なんか忘れてんな」
あっあのウニ謝ってない!クソっどこ行きやがった!
当分私の口の悪さは治りそうも無い
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つづく
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