第3話後 ちゃんと怒られたトゲ!!
「13:30でご予約の岩ヶ瀬さん…で間違いありませんか?」
「あっはい岩ヶ瀬です」
病院の受付かよ。
「本日はどう言ったご用件…と言っても、まあ大体想像は着くわね。」
事務員さんはアーちんの方を見ながらそう言った。
「あ見えてるんですね」
「その認識阻害魔法は魔法に触れてる人間に効き目が薄いのよ。要件は新規登録で良いのよね?」
「あっハイそうです」
「少々お待ちを」
そう言うと事務員さんは引き出しからプリントを持ってきた。
「ここに本名と連絡先、住所、魔法少女名、えー、あと魔法の種類を記入して」
「わかりました」
言われるがままに紙に記入していく。ボールペンなので微妙に緊張する。
「魔法少女の名を登録する理由はアーちんから聞いたかしら」
書いてる途中に事務員さんが話し掛けてくる。悪いけどめっちゃ気が散る。
「大体は聞きました。ステッキの管理ですよね」
手を止めて返事する。
「そうね、あと魔物の通報があった時に近くの魔法少女に情報共有や応援要請とか人間側のメリットもあるわね」
「なるほど〜」
なんか思い返すとアーちんって妖精側の都合ばっかり話してる気がする。そう思いながら再びペンを動かす
「へー、ウニの魔法少女ディアデマ✴︎アクスね。」
相も変わらず書いてる途中に話しかけてくる。
「ウニか…ねえ岩ヶ瀬さん、もしかしてだけどそこのアーちんに唆されたりした?」
アーちんは部屋の隅でギクッとしていた。なんかこの建物に入ってからずっと大人しい。
「んー…、一応自分で望んで変身しました。なんか色々説明を省かれた気はするけど」
「そう…あ!言ってくれたら今度空きステッキ出た時とかそっちに回したりするわよ?」
事務員さんはだいぶ気にかけてくれてるようだ。
「あー、いや大丈夫です。最初は思ってたのと違うなとは思ったんです。けど、魔物から学校を守れて、悪く無いかもってちょっと思い始めてて…」
自分の口で言うと何故か少し照れ臭い。
「…なら良いわ。お節介だったわね。それはそうとして__魔物ってどう言うことかしらアーちん。」
「トゲェッ!?」
振り返ってみるとアーちんが見たことないくらい冷や汗をかいていた。
「いやぁその事については今日の登録のついでに報告しようと思っていたところでトゲね!」
凄まじい早口だった
「私すぐ報告できるように通信機渡したわよね。」
「トっ…!!」
そこで完全にアーちんの言い訳が詰まった。
「此の度は報告が遅れ誠に申し訳ございませんでしトゲ…」
「よろしい」
スゲー、あの事務員さん、あのアーちんに頭を下げさせた。妖精の土下座初めて見た。と岩ヶ瀬は遠目で感心していた。と共に、とりあえずこの気まずい説教ムードから抜け出すため急いで書類にペンを走らせた。
***
「あのっ書けました!」
誤字脱字が無いかだけ確認して書類を提出する。
「ありがとね〜これで登録完了だから。しかしまあよく初戦闘で魔物倒せたわね。しかも跡形もなく。」
書類をファイルにまとめながら事務員さんは呟いた。
「えっ見てたんですか!?」
「直接は見てないけど魔物の反応が急に消えた場所に消し炭みたいなのしか残って無かったかし、アーちんの報告忘れ聞いたらアレか!ってなってね。」
「まあアーちんの助言が殆どですので私は」
「いやいや立派な才能よ?一つアドバイスするなら、ウニの魔法は攻撃は強いけど防御や回復技がないから無理はしない事ね。じゃあ私はそろそろ巡回に行ってくるから」
そう言うと事務員さんは徐に魔法のステッキを取り出した。
「えッ!?お姉さん魔法少女なの!?」
明らかに10代女子の風格では無さすぎる。
「いやぁね、こう見えて17よ。…変身」
私よりシンプルな掛け声でステッキが光り、彼女の体もその中に包まれる。
半透明なヴェールに身を包み、青白く長いロングヘア。ウェディングドレスの様だった。
「自己紹介がまだだったわね。私はクラゲの魔法少女、ジェリィ◎メドゥーサ。何かあったら連絡してね。じゃ!」
そう言ってふわふわと空を泳ぐ様に浮遊していった。
彼女が飛び立つのを眺めてると横からノロノロとアーちんがやってきた。
「ああは言ってるトゲけどクラゲの魔法の不老能力で肉体を十七歳にしてるだけで本当は二十なn__ 」
「ごめーん忘れ物したかも〜なんか話してた?」
ジェリィ◎メドゥーサがものすごい速度で飛んで帰ってきた
「なんでも!なんでもないトゲよ!」
アーちんは終始怯えていた。
****
その後私たちは少しショッピングモールで買い物してからバスに乗って汐路逢浜に帰った。
私とアーちんの1人と1匹は夕方の海沿いの道をとぼとぼ歩いている。
「なんかどっと疲れたね」
「いつの時代も手続きはしんどい物トゲ」
「いや今回疲れたのはアーちんの説教が大半じゃないかな多分」
「…」プスッ
「いだッ!無言で針刺しやがったこいつ!」
水平線に沈むあたたかな夕陽と朱い空がそんなやり取りを照らしていた
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