第1話後 魔法少女だ!ウニだ!ウニ!?
「僕はアーちん!魔法少女募集中の妖精トゲ。」
変なトゲトゲはそう名乗った。
「それで妖精さんがなんでまたこんな所に?」
嬉しさで飛び上がりそうになるのを堪えながら岩ヶ瀬は尋ねる。
「言ったとおり少女の募集トゲ!この
「あー…そういえば不審者がどうのって言ってたけどあれも関係あるの?」
「いやそれは僕が人間のフリして10代女子に聞いて回ったら不審者扱いになっただけトゲ。」
「原因お前かい」
とは言っても確かに見知らぬ人が怪しまれず10代女子に話しかけるのは至難の業かと岩ヶ瀬は少し同情した。
「で、最終的にこのカワユイ姿で下校時刻に海岸に転がって、拾ってくれる心の優しい女の子を待つことにしたんだトゲ」
「大変なんだな妖精って。……ん?いや待ってじゃあ私魔法少女に選ばれたって事?」
岩ヶ瀬は驚きと嬉しさで少し声が裏返っていた。
「それはこれからキミが決める事トゲよ」
そう言ってアーちんは何処からともなく魔法のステッキ__いやこれモーニングスターだ。なんか先端に物騒すぎる棘鉄球みたいなのがついている。鎖みたいなのもある。
「この"明けの明星(モルゲンシュテルン)"で変身するトゲよ」
「いやそれモーニングスt」
「魔法のステッキだトゲ。」
アーちんは食い気味かつ早口に否定した。
「最近のは近接戦闘にも使えるようになってるトゲ。でも武器っていうと法的にアレだから誰がなんと言おうと魔法のステッキだトゲ」
「とりあえず変身してみるトゲ」
「うん、…魔法少女は魔法少女だもんね!うん!」
そう自分に言い聞かせて岩ヶ瀬はモーニンgじゃなくてステッキを手に取る
「重っ、でこれでどうすんの?」
「変身した自分をイメージして適当な掛け声を言うトゲ」
「あ、そう言うのこっちで決めて良いんだ」
「魔法少女はキャラ付け命トゲ」
納得いくようないかないような感覚を覚えながら岩ヶ瀬は変身後の自分を想像する。フリルのスカートでキラキラの魔法少女。小さい頃からの密かな憧れ。
「えっと…クローゼスアップ!」
途端体が眩い光に包まれていく。
自分の何かが変わっていく感覚。
夢見心地だった。
***
やがて光が消え、元の砂浜のアーちんが視界に入った
「どう?変わった?」
「見てみるトゲ」
アーちんは何処からともなく姿見を出した。
「これは…!」
岩ヶ瀬は息を飲む。
黒い革のワンピースドレス。背中に大きなリボンがある。黒くて短いプリーツスカートには紫のラインが2本通っている。紫と黒の縞のタイツ__ここまではまだ良い、なんか服のあらゆる所にパンクな鋲が散りばめられている。同様にパンクな黒革マスク。後ろ髪は左右で括られ、ツインテールやお団子の代わりにガンガゼウニが二つ頭にくっついていた。真ん中分けの前髪をヘアピンで留め、露出した額には第三の目みたいなのがあり腹には5角形の口。ほぼ敵キャラだ
「なんかっ…!なんかだいぶ思ってたのと違う!!」
「変わる自分を想像するのはあくまで変身プロセスで魔法少女の衣装には反映されないトゲ」
「先に言ってよそれは!びっくりしたわ!なんでこんな黒くてトゲトゲしてんの?敵キャラみたいになってないコレ!?」
岩ヶ瀬はかなり錯乱している。
「いやコレで正解トゲ!キミが今変身したのはウニの魔法少女トゲ」
「ウニの魔法少女!?え…ウニの魔法少女って何?」
「魔法少女の特性はステッキごとに違うトゲ。これはウニの魔法少女ステッキだトゲ。」
「じゃあモーニングスターの部分はウニの略図だったんだ…じゃなくて、ステッキごとって事は別のに変更出来たりするの?」
「出来なくはないトゲけど…僕がもってるのはあとナマコとサンショウウオの魔法ステッキぐらいトゲ」
「変なのしか無え!」
「仕方ねーんだトゲ。人気モチーフのステッキは大体都市部の魔法少女が使ってるトゲ」
アーちんは悔しそうに愚痴った。
「じゃあこれ売れ残りだ」
「不人気キットとも言うトゲね」
「えー…1回他のやつ試して良い?」
魔法少女になれた感動は8割消えかけていた。
5分後
「ん"ー相対的にウニがマシかこれは…」
「正義の味方っぽくないだけで一番似合ってはいるトゲね。衣装が似合う事はそれだけその魔法の適正が高い事の証拠トゲよ」
「じゃあ…これかぁ…」
がっかりしつつも適正が高いと言う言葉に少しワクワクはする。
「とにかくおめでとうトゲ、今日からキミはウニの魔法少女ディアデマ✴︎アクスだトゲ」
「名前かっこよ」
少しやる気が出た自分の単純さが少し恥ずかしかった。
その時遠くで轟音が響いた。
「!?…学校の方だ」
「早速仕事トゲよ!」
魔法少女ディアデマ✴︎アクスは海を背に走り出す。
___その先の運命も知らずに
_____________________
つづく
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