KADOKAWA レーベル分析
春日あざみ
第1話 富士見L文庫
レーベルについて勉強しよう!と思い立ったが吉日。あとで自分で見返すためのメモとして、各レーベルの傾向分析をすることにしました。
せっかく書くならカクヨムに投稿しようということで、えいやで投稿しています。
私のメモ書きが、どなたかの参考になるといいなと思いつつ筆を取らせていただきます。
第一回目は富士見L文庫さん。
KADOKAWAさんのレーベル紹介から抜粋すると、以下の通り。
「富士見L文庫は“大人のためのエンタメ小説”をテーマに2014年に創刊されたキャラクター文芸レーベルです。
シリーズ累計900万部の『わたしの幸せな結婚』(著:顎木あくみ イラスト:月岡月穂)、シリーズ累計260万部の『かくりよの宿飯』(著:友麻碧 イラスト:Laruha)などの人気シリーズをはじめ、『龍に恋う』(著:道草家守 イラスト:ゆきさめ)や『朧の花嫁』(著:みちふむ イラスト:鴉羽 凛燈)など、女性中心に広く注目を集めています。」
(出典:KADOKAWA 商品サービス•トピックス
https://group.kadokawa.co.jp/information/promotional_topics/article-13250.html)
ここで代表作として挙げられてるのは、全部和風ファンタジーですね。読者は2:8で女性が多く、年齢層は30-50代がボリュームゾーンと、以前の創作大賞向けのスペースで仰っていた記憶があります(記憶違いだったらめんご)。
では実際の刊行作はどうでしょう?
ということで調べてみました。
なお調査作業の短縮化のため、ChatGPTを使っています。あらかじめご了承くださいませ。
手作業でファクトチェックもしてますが、できる範囲となってます…。
あまり遡っても傾向が変わってしまうと思い、直近一年ちょい分の刊行作をチェックしています。
【調査対象期間】
2024年11月から2025年11月の刊行作品(52作品)
まずは、舞台設定を見ていきましょう。
【舞台設定】
和風 21回
西洋 11回
現代 10回
中華 9回
アラビアン 1回
和風世界舞台が圧倒的な刊行数を誇っています。割合で言えば約4割。ここでの和風世界舞台は、不思議要素を含む現代以外の日本風世界という定義で現代とわけています。
なお、モチーフになっている日本の年代は、平安、明治、大正、とさまざま。明確に時代を言及していないパターンもあるので、数値的割合の言及は避けますが、目視で見る限りは明治、大正浪漫ものが多い印象です。
次は、公式サイトでタグづけされているキーワードの頻出語彙ランキングです。一部、タイトルに「溺愛」などのキーワードが入っているのに、タグに入っていないものなどは私の方で追加したものもあります。
これを見ると、富士見L文庫さんが重視している作品傾向がある程度わかるかと思います。
【出現頻度ランキング(上位10語)】
順位 語彙 出現回数
1位 人間ドラマ 24回
2位 恋愛 22回
3位 和風ファンタジー 17回
4位 溺愛 10回
5位 中華ファンタジー 8回
6位 結婚生活 6回
7位 グルメ 6回
8位 結婚 5回
9位 後宮 4回
10位 お仕事 4回
こちらを見る限りでいえば、「人間模様をしっかりと描きつつ、恋愛要素が主体としてある和風ファンタジーもの」を好んでおられるのかな、という印象を受けます。舞台設定からも同じ傾向が取れましたが、和風ファンタジーが推しであることが伺えますね。最近流行りの中華ファンタジーにも力を入れているようです。
西洋風ファンタジーもありますが、数は少ないようです。
また、ジャンル問わず「女強し」という言葉が4件入っています。あえてタグに入れるくらいですから、強いヒロイン作品も意識して出しておられるのでしょう。
一方で。数は少ないけど個人的に気になったキーワードはこちら。
•スチームパンク 1
スチームパンク?!富士見L文庫さんでは見かけない作品なので驚きました。
でもよく作品群を見てみると、数は少ないけど男性主人公だったり、男性2人のバディものだったり、アフターファンタジーものだったりと、これまでの作品傾向とは異なる作品も手がけられていることがわかります。
以前富士見L文庫の編集長様のスペースも拝聴したのですが、今までやってこなかった作品系統(たとえば西洋ファンタジーとその時はおっしゃってました)にも挑戦していきたい、というお話をされていた記憶があるので、この辺りに挑戦が滲み出ているのかも?と思いました。
ここまでの傾向を総括すると、富士見ノベル大賞に応募するなら和風ファンタジーが無難だ!と言いたい気分にもなるのですが、最近発表になった第8回富士見ノベル大賞の受賞作を見るとそうでもないようで。三作品中二作品が西洋ファンタジーで聖女物、残り一作品が和風ファンタジーなのです。
第8回富士見ノベル大賞結果発表
https://lbunko.kadokawa.co.jp/award/result/8th.html
結論傾向は傾向として、この講評の中にもある通り、流行は捉えつつも、オリジナリティをどう出すかが富士見さんの公募においては大事なのかなと思われます。
最後に、今回参照した刊行作のリストをはっつけておきます。これを眺めるだけでも、「あ、こういうの好きなのね」というのがわかるので、一読の価値ありです。
ではでは。
【直近一年ちょいの刊行作】
アラベスク 後宮の和国姫 3
宵を待つ月の物語 一
旦那の同僚がエルフかもしれません
ユキヒョウさんの宝石店 ふわふわカフェラテと祝福のアクアマリン
国外追放された王女は、敵国の氷の王に溺愛される 2
生贄乙女の婚礼 二
龍に恋う 七
鬼狩り神社の守り姫 三
女男爵の庭師
流蘇の花の物語 銀の秘めごと帳
ばけもの姫の再婚
なりゆき悪女伝 二 縫妃は寵愛に気づかない
白狼様と神隠しの少女 約束の百年目、神使が迎えにきました
朧の花嫁 三
青藍の秘め恋
わたしの幸せな結婚 九
魔王のアトリエ 奇跡のアクセサリの作り方
夜叉王の最愛 ~慈しまれた治癒の乙女は覚醒する〜
水平京物語 すみれの水都に雨降りにけり
罪咲く花嫁の契約結婚
七条家の糸使い よわよわ男子高校生のあやかし退治
髪結い乙女の嫁入り 三
魔王の食卓 かぼちゃとひき肉のパイと約束の旅
狐の婿入り
黒公爵様の恋文代筆人
麦の国のスープ暦
国外追放された王女は、敵国の氷の王に溺愛される 3
呪い子と銀狼の円舞曲
天狐恋う遠見の花嫁
男装姫は、鬼の頭領の執着愛に気づかない
青薔薇アンティークの小公女 5
生贄乙女の婚礼 三 龍神様と照らしたこの道を歩みたい。
仙華繚乱 女仙、転じて医官となる
なりゆき悪女伝 三 縫妃は偲恋もいとわない
朧の花嫁 四
マダム・ミニョンはご遺体しか愛せない
冥婚相談所 貧乏道士と死ねない軍人
旦那の同僚がエルフかもしれません 2
悪魔さんの8畳ワンルーム甘やかしごはん
二階の悪魔さん 地獄への帰り方、探してます。
百華死亡遊戯 冷遇妃の瞳は後宮の命花を映す
白狼様と神隠しの少女 二 旅路の果て、神使と約束の指切りをしました
その巫女は悪女につき お前は、わたくしを殺す番犬
碧雲物語 二(上) ~女のおれが霊法界の男子校に入ったら~
かくりよの宿飯 十三 あやかしお宿の社員旅行。
碧雲物語 二(下)~女のおれが霊法界の男子校に入ったら~
"レディ・バレットは恋の設計図を知らない
白皙の機械人形とはじまりの心音"
皇宮軍人の花嫁女官
"清流神社のあひるの子
宵月夜に呪物と踊れ"
美食学者 朝倉の崇高なる推論
本愛づる乙女のあやかし遊戯
日々に疲れたので、パンダと京町家暮らしを、始めます
KADOKAWA レーベル分析 春日あざみ @ichikaYU_98
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