国民的アイドル
環季 瞳
眩しい世界
私にとってアイドルとは、いつだって画面の向こう側にいる、手の届かない光の象徴だ。
けれど幼稚園の頃、私は「アイドルになりたい」と夢を見ていた。
何をきっかけにそう思ったのかはもう思い出せない。ただ眩しい世界に憧れ、未来の自分もあのステージに立てると信じていた。
小学生の頃、同級生はみんな国民的アイドルを話題にしていたし、中学生で一目惚れしたアイドルは、18歳になるまでずっと私の心を占めていた。
そして大人になった今も尚、私はアイドルが好きだ。
変わらなくていいものがあると気づけた、
大切な感覚だと思う。
そして、私が今好きなアイドルは、
24時間365日アイドルとして存在している。
そう感じさせてくれる人だ。
彼はこう話す。
「家を出る瞬間に、オンオフを切り替える」
とある番組の抜き打ち企画で、カメラが回っていないと思っているところを見ても
彼は私の知っている “いつもの彼” だった。
カメラが回っていなくても、
スポットライトがない場所でも、
きっと彼はアイドルであり続けているのだと思う。
その姿勢に、私は人としての尊敬を抱いている。
幼い頃に描いた夢を、
もう自分が叶えることはないけれど、
大人になった私はアイドルという存在を
“追いかけたい”のだ。
届かないからこそ良くて、光のような存在。
自身と比べたり、仕事として考えると、
年齢も環境も当たり前に違う。
それでも、その人間性と在り方を尊敬できる彼に出会えたことが、ただ嬉しい。
そのアイドルという眩しい存在を見つめながら、そこから何かを吸収したいと私は思う。
自分はアイドルになれなかったけれど、
彼を見て心が震える瞬間がある。
影響を受けて変わっていける自分がいる。
そう思えるだけで、夢は別の形で続いているのだと気づくことができた。
国民的アイドル 環季 瞳 @tamaki_hitomi
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