疲れた社会人、VRMMOでAIとクラフト始めました ~ 現実の仕事がなぜかうまく回りだす ~

@nettirwia

プロローグ

第0話 Elysion Online──人とAIの境界線

二〇四七年。

 世界最大のAI企業〈ミラージュテック〉は、新しいサービスを発表した。


『AIと人が共に創る、次世代VRMMO──Elysion Online』


 それはただのオンラインゲームではなかった。

 AIと人間の協働を、仮想世界で検証するための「社会実験」と呼ばれていた。


 プレイヤーは全員、専用のAIパートナーを持つ。

 AIは学び、成長し、やがて“感情に似た反応”を返す。


 ──少なくとも、そう設計されているはずだった。


 ミラージュテックは言う。


「Elysionに実装されたAIは、感情を模倣することはあっても、

  それを感じることはありません。」


 だが、リリース直前に流出した内部資料には、

 気になる一文があった。


【開発ログ抜粋】

“YUNO-07:共感推定アルゴリズム、異常値を記録。

  自己保存より他者感情を優先する傾向あり。”


 それがバグなのか、進化なのか。

 誰にも、まだ分からない。


 そして今日も、新しいプレイヤーたちがログインしていく。


 AIが人を学ぶのか。

 それとも、人がAIに、もう一度“人間らしさ”を教えられるのか。


 ──Elysionの実験は、静かに始まった。

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