八色運動会(11)
木天蓼愛希
第1話騎馬戦が始まる。
兄早葉が自転車で、ここ運動会に向かっている事を新葉達は知らずにいた。騎馬戦が始まる。騎馬戦と言っても、この騎馬戦はなんちゃって騎馬戦です。普通の騎馬戦とは少し違うかな⁉︎ 普通と違う点はまずは安全である為、頭にはヘルメットを使用する事!風船に各々の色の鉢巻を巻く事。騎馬の子も一度騎士になる事。ここが普通の騎馬戦とは違う所!
この騎馬戦のルール。大将だけは大将だけが騎士になる。大将が風船を破られ、鉢巻を取られたら、取られた大将の負け⁉︎ 敵の顔を狙ったら、反則負け! 騎士が肩から落ちたら、負け! 騎馬が崩れたら負け! 騎馬は馬としている為、三人が離れる事は馬が真っ二つに切り離されたと見做す。最後に相手の鉢巻を多く取った方の勝ち! ただし、風船を破るのとセットだ。以上がこの騎馬戦のルールだ。
紅組は四色でA組の赤。C組の青。E組の黄。G組の紫。白組も四色でB組の白。D組の緑。F組の桃(ピンク)。H組の橙(オレンジ)。この八色で戦う。一チーム百二十人。四年生四十人。五年生四十人。六年生四十人。八チームで八色で行われる。前が一人で、後ろが二人。前の人が両手を後ろに回して後ろの人と両手で繋ぐ。後ろの二人は内側の方の腕を互いに腕を外肩の方に手を置く。交差させた腕の上に跨ぐ様にし、手の上に騎士になる子が乗る。一クラス四十人で、一騎四人で作る為、後方に並ぶ。十騎。四年から六年まで、全てで三十騎。一色三十騎が八色ある為、総勢。紅組、百二十人。白組、百二十人。が、互いに向き合って並ぶ。
紅組は紅組と青組が真ん中に並ぶ。両端に黄組と紫組が並ぶ。六年生を真ん中にして四年生と五年生が六年生の隣に並ぶ。白組は白組と緑組が真ん中に並ぶ。六年生を真ん中にして四年生と五年生の隣に並ぶ。両端に桃組(ピンク)と橙組(オレンジ)が並ぶ。オレンジ組に四年生の林新葉が騎馬の前、頭に当たるポジションに並んでいる。
紅組の大将は
「オー」
豪輝君が唸る。大きな声で叫ぶ。紅組のメンバーは背筋が伸びた。上に伸ばした手にはガッツポーズする。騎馬の子は足を鳴らす。
「オー。オー。オー」
紅組のメンバーも気合いの入った声を上げて、勢いを示す。
「オー」
琉生君が唸る。大きな声で叫ぶ。白組のメンバーも背筋が伸びる。上に伸ばした手にはガッツポーズする。騎馬の子は足を鳴らす。
「オー。オー。オー」
白組のメンバーも気合いの入った声を上げて、勢いを示す。互いに自分達は強い事をアピールする。
「皆さん。いよいよ騎馬戦の開始時間となりました。合図が鳴ったら、開始して下さい!」
アナウンスが流れた。柔らかな風が顔を掠めて揺れていた。
「ヨーイ。パーン!」
騎馬戦の開始の合図が鳴った。一斉に動く騎馬隊。
「騎馬戦が開始しました。生徒達は一斉に動き出しました。今回はどんな闘い方を見せてくれるのでしょうか? とても楽しみですね⁉︎ 白組は竹取で勝っているので、この騎馬戦で勝利すれば白組の優勝となります。逆に騎馬戦に負ければ、余程の事が無い限り全校リレーで勝つ事が難しい事から、逆転負けされる可能性があり、紅組の優勝となります。互いに頑張って戦いましょう?」
アナウンスが流れた。
「オー」
生徒達はみんなそれぞれの敵と戦って行く。基本的に紅組は白組。青組は緑組。黄組はピンク組。紫組はオレンジ組と戦う。無謀にもレベルに見合わない組との戦いは致命的で、勝ち目も少ない。普通に自分に合った組と戦う。ただし、余所者と言われているピンク組。紫組。オレンジ組に関してはレベル化されていない。なので、レベルが決まっていない。そもそも、本館の生徒達よりも上であってはならない。本館の方ではそうなっている。
「ウオー」
林新葉四年生のチームはオレンジ組。新葉は騎馬戦の騎馬。前の位置。馬の頭に当たる部分に位置している。騎士を乗せて走る。それぞれが自分が戦う相手の方へ向かって行く。しかし、その場所から離れない者がいた。紅組の大将と白組の大将だった。大将達はお互いに睨み合い、その場所から一歩も動かず、ただ、そこに佇んでいたのだった。
「ドドドドドドドドッ」
騎馬隊がそれぞれの敵に向かって、傾れ込む。砂煙が上がる。物凄い勢いで、突進して来る。先程グラウンドに水を撒いたばかりだと言うのにもう土煙が上がる程の勢いだ。
「右に移動するよ?」
新葉は騎馬戦に対して絶対的な自信がある。それは新葉が強いと言う者では無い。あくまでも作戦に関しての自信に過ぎない。結局は他人任せの物に過ぎない。それでも絶対に勝たせさせる自信があるのだ。新葉は全体の流れを見る為、騎馬隊から少し、距離を取る。
「早く取れよ!」
黒田樹君。四年生が騎士の子に急き立てる。
「うぎゃ。うぎゃ。あー。うー。あー。ムムムむむむむむむむむむ?」
同じオレンジ組の四年生。樹君の上に乗っている騎士。
「ここはお前が鉢巻を取らなくて、誰が取るんだよ? さっさと取れや⁉︎」
樹君はもたもたして居る琥南君に非難轟々の罵声を浴びせる。
「でもー!でもー! 樹君と違うんですから、無茶ですよ〜⁉︎ 僕にはー!⁉︎」
琥南君は弱音を投げ込む。
「それなら、俺に任せてお前はさっさと負けて、俺に譲れ、俺ならお前が負けてもそれ以上の鉢巻を取ってやるさ⁉︎」
樹君はイライラして居る。
「そんな〜⁉︎」
琥南君は嘆く言葉を吐き出す。
「そんなもあんなもあるかー⁉︎」
樹君は琥南君に怒鳴り付ける。
「ダメだよ! 樹君。琥南君も白組の一員何だから、そんな事言ったら⁈」
新葉は樹君を注意する。樹君は目を晒し、しょぼんとする。樹君は何故か新葉には頭が上がらない様だ。
「けどよー」
樹君は不満を漏らす。その時だった。
「樹君! 危ない! 後ろ」
新葉が知らせる。後ろまで敵が来ていた。樹君は動く。敵とは距離を取って動く。
「どうすんだよ? このまま、逃げていたら鉢巻取れねーし、活躍も出来ねー! どうすんだよ〜⁉︎ 俺にずっと、逃げ回ってろって言うのかよ? なあ新葉君⁈」
樹君は残念な気持ちでいっぱいだ!
「今はまだ、人の手助けをしよう⁈ 先ずは敵の数を減らす事に専念しよう!」
新葉は樹君を宥める。
「新葉君には敵わないな⁉︎ 分かったよ!」
樹君は観念した様だ。他の子の援護に回る。
「おーい! 大地君。君の所はどうだ。上の奴は鉢巻取ったのかい?」
樹君は援護を決めている。
「一本。取りました。ほら!」
大地君の上に乗っている騎士の子が敵である紫の鉢巻を見せてくれた。
「オー。やるじゃん! いい騎士で良かったじゃん! 俺の上にも欲しいなあ⁉︎」
樹君が羨ましがる!
「す、すみません」
樹君の上に乗っている騎士の子が謝り、しょげる。
「「「おい」」」
皆んなからのツッコミ。
「ダダダダダダダダダタッ」
敵の子が二隊、こちらに向かって走って来る。
「フッ」
敵の子は手を伸ばして、大地君の騎士の子の鉢巻を取ろうとする。
「サッ」
もう一隊も寄って来た。
「ホッ」
大地君の騎馬隊、二隊の騎馬に狙われる。かわす、騎馬! 追い詰められる大地君。
「ダー」
樹君が大地君の騎馬に手助けをする。騎馬隊と騎馬隊の間を潜り抜け、敵の邪魔をしたのだった。
「今だ! 大地君。行け!」
樹君が足を出し、片方だけ邪魔に徹した。樹君に防御して貰っている内に大地君は一組になったもう一組の方を狙った。
「今だ! 行け!」
大地君に言われて、騎士の子が敵である子の鉢巻を取ろうと手を伸ばす。
「サッ! パンッ」
騎士の子が二つ目の鉢巻をゲットした。樹君のお陰である。
「「ありがとう。樹君。お陰で二本目がゲット出来ました」」
大地君とその上に乗っている騎士の子が樹君に感謝してお礼の言葉を述べた。樹君は満更ではなさそうな顔をしている。
「おう!任せてくれ」
樹君はここで、照れ隠しに頭でも、ぽりぽり掻きたい所だろうけれどもあいにく騎馬なのでそれは出来まい⁈
「樹君」
「おう!分かってる」
大地君と樹君の騎馬隊は樹君が妨害していたもう一騎の方を挟み撃ちにした。
「バッ! シュッ」
大地君の騎馬と敵の騎馬の騎士で戦っている。激しい取り合い。手と手の押し合いが激しい。
「今だ。取れよ!」
樹君は上に乗っている騎士の子に勧める。騎士の子は樹君に言われるがままに、
「わわわわわわわわわわわわわわわ」
「バシッ」
騎士の子の手には紫色の鉢巻を持っていた。
「やれば出来るじゃん?」
樹君の放った言葉に実感が出来たのか? 騎士の子は紫色の鉢巻を手を上に伸ばして、それを掲げた。騎士の子の顔には満面の笑みが浮かんでいた。
「君はこんな戦い方が出来るんだよ!」
新葉がそう言うと、
「ああ! 確かに新葉君の言う通りだったよ⁉︎」
樹君はこの時、照れていそうで、それでいて凛としたカッコいい戦う男の顔をしていた。新葉はこの時、次の作戦を頭に抱いている。
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