47日目 週末/実家挨拶1 イイ子にしてるご褒美


「あ、お義母さん! そのお皿、私が拭きますね!」

「あらやだ♪ いいのよレナちゃん、座ってて~」

「だめですぅー。タカキのご飯作ってもらったんだから、これくらいさせてくださいっ♡」


 夜。ぼくの実家の台所。

 暖色の照明の下、レナさんは、袖をまくり上げ、甲斐甲斐しく母さんの手伝いをしていた。

 笑顔は満点。気配りも完璧。ソファにいる姉貴も「あんたには勿体ないわね~」とぼくを小突く。

 場の空気は和やかだった。


「……ふふ。楽しいな」


 レナさんが、洗い物をしながら小さく笑う。

 その横顔は、慈愛に満ちた聖母のようだ。こんなに自然に、ぼくの家族に溶け込んでくれていることが嬉しかった。

 けれど、同時に思い出す。

 まるで生活感のなかったタワーマンションのことを。

 氷の女王と呼ばれる彼女は、自分の家族にも、こんな温かい顔を見せるのだろうか。


「高樹〜、私の麦茶持ってきて〜」

「えー? ……わかったよ」


 姉貴に言われて、麦茶を汲みに冷蔵庫へ向かう。

 ……が、すれ違いざま。


 トン。

 彼女の腰が、ぼくの腰に当たった。

 ほんの一瞬。けれど、そのお尻の柔らかい肉が、グイッとぼくの太腿を押し潰すように、意図的に擦り付けられたのがわかった。


「……っ」


 振り向いた先。皿を洗う、レナさんの手は止まっていない。

 スポンジを滑らせ、笑顔を貼り付けたまま。


「ねえ」


 母さんには聞こえない、鼓膜を撫でるようなウィスパーボイス。


「イイ子にしてるご褒美、まだ?」


 聖母の瞳の奥で、獣がギラリと舌なめずりをする。





「あ、ビール切れちゃったわ」

「ぼく、取ってくるよ。納戸でしょ?」

「アタシも手伝うー! 重いもんねっ」


 チャンスは唐突に訪れた。

 台所の奥にある、お酒やストック品を置いている狭い納戸。

 ぼくが足を踏み入れ、レナさんが続いて入り……パタン、とドアを閉めた。


「捕まえた」


 闇に落ちた刹那。

 ビールのケースに手を伸ばそうとしたぼくの腕が掴まれ、壁にドンと押し付けられた。

 暗がりの中。

 さっきまでの良い子なレナさんは消滅していた。


「限界。……もう無理」


 外で食器が触れる音。

 父の咳払い。

 テレビの笑い声。

 レナさんの、吐息。


「……レナさん、母さんたちがすぐ外に……」

「だからイイんじゃん」


 彼女は、ぼくの首に食らいつくように抱きついた。

 エプロン越しの爆乳の圧迫感。


「……三時間」


 ぽつりとこぼす、彼女の心臓が、早鐘のように打っている。


「三時間も、タカキに触れないでイイ子にしてたんだよ? アタシがどれだけ渇いてるか、わかる?」

「……ご、ごめん……」

「謝るなら、補充して」


 背伸びをするまでもなく、彼女は、ぼくの全身を抱き締める。


「……ぎゅううぅ……っっ!」


 痛いほどに押し付けられる、肢体の熱。

 レナさんにとっての充電は、全身で抱き締め、押し潰し、ぼくという存在の輪郭を確かめること。

 彼女の中に空いたブラックホールのような孤独を、物理的な質量と体温で埋めること。

 肺の中の空気をすべて、ぼくの匂いに入れ替える儀式。


 ――んんっ、はぁぁぁ……っ。


 深い呼吸と共に、彼女の強張っていた身体が、ぼくの腕の中で、とろりと溶けていく。

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不感症な爆乳ギャルの妃 玲奈(きさき れな)が、ぼっちのぼくに激重依存して「一生離さない」と宣誓するまでの100日間 @penosuke

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