47日目 週末/実家挨拶1 イイ子にしてるご褒美
◆
「あ、お義母さん! そのお皿、私が拭きますね!」
「あらやだ♪ いいのよレナちゃん、座ってて~」
「だめですぅー。タカキのご飯作ってもらったんだから、これくらいさせてくださいっ♡」
夜。ぼくの実家の台所。
暖色の照明の下、レナさんは、袖をまくり上げ、甲斐甲斐しく母さんの手伝いをしていた。
笑顔は満点。気配りも完璧。ソファにいる姉貴も「あんたには勿体ないわね~」とぼくを小突く。
場の空気は和やかだった。
「……ふふ。楽しいな」
レナさんが、洗い物をしながら小さく笑う。
その横顔は、慈愛に満ちた聖母のようだ。こんなに自然に、ぼくの家族に溶け込んでくれていることが嬉しかった。
けれど、同時に思い出す。
まるで生活感のなかったタワーマンションのことを。
氷の女王と呼ばれる彼女は、自分の家族にも、こんな温かい顔を見せるのだろうか。
「高樹〜、私の麦茶持ってきて〜」
「えー? ……わかったよ」
姉貴に言われて、麦茶を汲みに冷蔵庫へ向かう。
……が、すれ違いざま。
トン。
彼女の腰が、ぼくの腰に当たった。
ほんの一瞬。けれど、そのお尻の柔らかい肉が、グイッとぼくの太腿を押し潰すように、意図的に擦り付けられたのがわかった。
「……っ」
振り向いた先。皿を洗う、レナさんの手は止まっていない。
スポンジを滑らせ、笑顔を貼り付けたまま。
「ねえ」
母さんには聞こえない、鼓膜を撫でるようなウィスパーボイス。
「イイ子にしてるご褒美、まだ?」
聖母の瞳の奥で、獣がギラリと舌なめずりをする。
◆
「あ、ビール切れちゃったわ」
「ぼく、取ってくるよ。納戸でしょ?」
「アタシも手伝うー! 重いもんねっ」
チャンスは唐突に訪れた。
台所の奥にある、お酒やストック品を置いている狭い納戸。
ぼくが足を踏み入れ、レナさんが続いて入り……パタン、とドアを閉めた。
「捕まえた」
闇に落ちた刹那。
ビールのケースに手を伸ばそうとしたぼくの腕が掴まれ、壁にドンと押し付けられた。
暗がりの中。
さっきまでの良い子なレナさんは消滅していた。
「限界。……もう無理」
外で食器が触れる音。
父の咳払い。
テレビの笑い声。
レナさんの、吐息。
「……レナさん、母さんたちがすぐ外に……」
「だからイイんじゃん」
彼女は、ぼくの首に食らいつくように抱きついた。
エプロン越しの爆乳の圧迫感。
「……三時間」
ぽつりとこぼす、彼女の心臓が、早鐘のように打っている。
「三時間も、タカキに触れないでイイ子にしてたんだよ? アタシがどれだけ渇いてるか、わかる?」
「……ご、ごめん……」
「謝るなら、補充して」
背伸びをするまでもなく、彼女は、ぼくの全身を抱き締める。
「……ぎゅううぅ……っっ!」
痛いほどに押し付けられる、肢体の熱。
レナさんにとっての充電は、全身で抱き締め、押し潰し、ぼくという存在の輪郭を確かめること。
彼女の中に空いたブラックホールのような孤独を、物理的な質量と体温で埋めること。
肺の中の空気をすべて、ぼくの匂いに入れ替える儀式。
――んんっ、はぁぁぁ……っ。
深い呼吸と共に、彼女の強張っていた身体が、ぼくの腕の中で、とろりと溶けていく。
不感症な爆乳ギャルの妃 玲奈(きさき れな)が、ぼっちのぼくに激重依存して「一生離さない」と宣誓するまでの100日間 @penosuke
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