誓約銃士リク

ちゃぴ

プロローグ:砂に埋もれた太陽


 ――銃声は、風よりも先に届く。

 砂の大地が震え、赤い光が走った。


 アルダストの朝。

 砂漠に築かれたこの街は、いつだって乾いた音から一日が始まる。

 魔石を叩く音、歯車の回転、そして誰かの試射。


 リク・クロウは今日も、腰のクロノ・ブレイカーを磨きながら、陽の光を避けるように街路の屋根の下を歩いていた。

 肩には白銀の小さな影――冥狼アルヴェル。


 「また朝から撃ってたのかよ、リク」

 「感覚を鈍らせたくないだけさ。銃も心もな」

 「その割に、寝坊してんじゃねえか」

 「誓約したろ。“今日は遅刻してもいい”って」


 アルヴェルの赤い瞳が細まり、尻尾がぴくりと動く。

 「……それ、誓約の使い方間違ってねぇ?」

 「便利な言葉は、使い道が多いんだよ」


 二人は笑い合いながら、砂嵐の中に浮かぶ巨大な建物――アルカ・ギルド支部へと向かった。


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